「話し方」の本と比べると「聞き方」の本の数は少ない。だがそのことは「聞く」ことの重要度が低いことを意味するわけではない。相手のことを知り、自分のことを知り、新しいアイデアを生み出すためにも「聞く」ことは重要な役割を果たす。電通から独立してサントリー「角ハイボール」他のプロジェクトを手がけ、『非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術』を上梓した齋藤太郎氏と、マッキンゼーなどの外資系企業から「ほぼ日」に転職し、ジョブレス期間を経てエール株式会社の取締役となり、『LISTEN──知性豊かで創造力がある人になれる』を監訳した篠田真貴子氏との対談から、聞くことの効用とヒントを探る。

齋藤:僕は『LISTEN』の原書のタイトル「You're Not Listening:What You're Missing and Why It Matters(あなたは聴いていない:そのために失っている大切なこと)」が好きで。というのも、僕が話を聞くようになったのは「自分が知らない」と気づいたときだったんですよ。

篠田:まさに「What You're Missing」ですね。

「知らない」から聞きたくなる

齋藤:知らないから、知りたくなる。それが好奇心だし、相手の話を聞く態度につながる。僕にとっては人生経験豊富な大島さん(編注:クリエイティブディレクターのdof大島征夫氏)が近くにいたことが、自分がヒヨッコだと気づかされる機会にもなっていました。

でも、若い頃は知らないことに気づけないんですよね。知っているつもりで世の中を見ていても、自分に幅がないから見える範囲が狭い。聞くためには、まずは「知らない」ことを自覚することが大切だと思います。