業務の効率化や生産性の向上に、社内でのコミュニケーションが重要であることは誰もが認識していることだろう。

しかし実際には、それがスムーズに行われていないことも多い。とくに上司と部下の間のコミュニケーション不足は、業務の非効率を生み、企業の生産性を大きく下げる結果をもたらすと、経営心理士で公認会計士の藤田耕司氏は指摘する。

「上司に質問することへの躊躇」が生産性を下げる

私は経営心理士、公認会計士として、人間心理と数字の両面から企業の経営改善をするお手伝いをしていますが、その中で業務効率化に関する相談もよく受けます。

業務効率化というと、システムの導入や業務フローの見直しなどを考える方が多いのですが、それらの方法はコストや手間がかかり、現場に混乱を招くこともあります。

その点、コストも手間もかけずに業務を大幅に効率化できる方法があります。それが「上司に質問することへの躊躇」を解消するという方法です。

これまでさまざまな会社で現場の社員に業務の非効率の原因についてヒアリングをしてきましたが、その中で特筆すべきなのが「上司に質問することへの躊躇」によって生じる時間のロスです。

不明点が生じた時、上司に聞けばものの5分で終わることでも、上司に質問できずに部下が1人で抱え込み、数十分、1時間、2時間と時間が経つ。こういったことが上司の知らないところで起きています。これが業務効率を大幅に下げているのです。

チームリーダーなど管理職の立場にある人は、「チーム全体の生産性」を最大化するように自分の時間と部下の時間を使うことが求められます。部下の質問に答えることによって自分の時間を奪われますが、部下の業務効率が上がり、部下はより少ない時間で業務を進められます。

例えば、部下の質問に答えることに上司が5分費やした結果、部下がその仕事を5分でできた場合、その仕事をするのにチーム全体で10分の時間がかかります。

一方、部下が上司に質問できずに自分で調べて不明点を解消し、その仕事に1時間かかった場合、チーム全体で1時間を要したことになります。