「教科書を予習するのに、いちいち調べたり考えたりせずにすむように作られた、手軽な参考書」を指す“あんちょこ”という言葉。「安直」が語源ですが、「仕事にこそ、あんちょこが必要なんです」と話すのは、当サイトで『角田陽一郎のMovingStudies〜学び続けてキャリアを伸ばす〜』を連載中のバラエティプロデューサー・角田陽一郎氏。

そんな角田氏が、『考具』シリーズで知られる加藤昌治氏とタッグを組んだのが『仕事人生あんちょこ辞典』。2021年9月に代官山蔦屋書店で開催された本書の発売記念イベントを皮切りに、現在も配信にて、お悩み相談に答えるトークイベントを開催中です。

今回取り上げるのは、ビジョンを示せない会社で働く、40代男性への“あんちょこ”回答です。

「ビジョンが大事」って本当ですか?

売り上げが下がりつつある業界で、とくに私がいる会社は予算をかけずにモノをつくるようになってから商品点数が少なくなり、売り上げ、利益ともに前年よりも厳しくなっています。

一方、社内では早期退職制度を利用したリストラが進み、社員人数も減少しました。ところが、トップは今後のビジョンを語ることもなく、会社全体の方針が見えない状態で、私は少ない予算のなかで日々目の前の仕事を丁寧に進めています。

ビジョンを語れないトップの下で社員はどんな方法で会社を盛り立てていくべきでしょうか?」(40代・男性・文具業界)

角田:なかなか深刻なお悩みですね。売り上げが下がったので予算も下がっていて、トップにもビジョンがない。その中でどう頑張ればいいかという話ですね。

加藤:組織マネジメントの分野では最近、「組織のビジョンと自分のビジョンを重ねろ」みたいなことがよく言われるよね。だから仮に上からのビジョンがないとしても、自分が組織のビジョンとしても通用するビジョンを持っていれば「ビジョンはあるのだ」という考え方もできるわけだよ。上にビジョンがないと動きにくいのはわかるけれど、「だから動けない」というのもそれはそれで人任せだという気がするな。

角田:動くうえで自分以外の外的要因が障害になるのは、ある意味当たり前だよね。「景気が悪いから」みたいなことを言い訳にしていたら何も商売できないわけだからさ。それじゃあどこまでが「外的要因」なのか考えると、働いている人にとってじつは「上の人に決断力がない」も外的要因なんだと思う。

この方は40代とのことだから、きっと会社では中間管理職くらいの、ある程度責任のある位置を占めているからこそ本当に会社のことが心配なんだろうと想像します。