「30歳限界説」「アイドル化」「結婚」「産後うつ」

大手テレビ局でアナウンス部長を経て、数々のヒット番組を手掛けてきた映像プロデューサーが、女性アナウンサーを取り巻くテレビ局の内実をリアルに描いた小説『全力でアナウンサーしています。』を書き上げた。その執筆に際して過去の経験をもとに元・女性アナウンサー7人以上に取材して見えてきた問題を指摘する。

海外のテレビ局には女性アナウンサーは存在しない

私はかつて日本テレビに在籍し、「世界まる見え!テレビ特捜部」という番組を企画・演出していた際、世界のテレビ番組を観て、さまざまな国のテレビメディアを訪ねた。そこで違和感を覚えたのは、各国のテレビ局に、“女性アナウンサー“が存在しなかったことである。報道やニュースは紛争地帯や事件現場で経験を積み専門教育を受けた男女キャスター、バラエティー・音楽番組などのMCはプロの司会者であった。

日本では男女のアナウンサーを大卒の新入社員から採用し、終身雇用契約のもと、給与が支給される。女子アナ志望者はエントリーシートという難関を突破するために、さまざまな努力をしていた。丁寧に書くことはもちろん、良い写真館を調べ、プチ整形のクリニックの情報を、受験生同士で交換するというのだ。

私はこれに驚いたのだが、応募者の8割が落とされるというエントリーシートの重要性を、彼女たちはすでに知っていたのだろう。つまりは、批判を恐れずに言えばルッキズム(見た目)と、ある一定水準の学歴優先という冷徹な関門が、最近の女子アナ志望者の前に立ちふさがっているのがテレビ界の厳然たる事実なのだ。

声がいい・個性がある・頭の回転が速い・知識が豊富・さまざまな体験をしている……などは、最初の関門においては、ほぼ関係がないのである。私が日本テレビに入社した1982年頃にはそんなことは無かった。「あの女性、何となく面白いね」「意外なことを言いそうだし、頭の回転が速い」などの要素も重視し、決して「見た目」だけで、振り落としたことはなかったと記憶している。