景気の先行きも心配だし、マスク生活やレジャー自粛も息が詰まる。でも「幸せ」か、と聞かれれば悪くない毎日かも──。野村総合研究所の「生活者1万人アンケート調査」では、1997年から3年ごとに日本の消費者のトレンドを追いかけているが、直近の調査では、景況感が悲観に振れたにもかかわらず、「幸福度」や「生活満足度」は伸びている。

時系列の大規模アンケート調査をベースにまとめた『日本の消費者はどう変わったか』を上梓した著者が、コロナ禍の中でもしなやかに順応しながら、穏やかで控えめな「幸せ」を見つけている、現代日本の消費者の意識・行動や、今求められるマーケティングの方向性を解説する。

コロナ禍をきっかけに1500万人がテレワークを実施

新型コロナウイルス感染拡大は、同時に就業においてテレワークという新しい働き方を拡大させた。

日本では2020年4月の緊急事態宣言の発令に伴い、多くの企業でテレワークが進むことになった。就業者6,700人に対して、直近1年間のテレワーク実施日数を調査したところ、テレワークを1日でも実施した人は22%存在していた(NRIが2021年8月に実施した「生活者1万人アンケート調査」。15歳〜79歳までの就業者が対象)。

総務省統計局の労働力調査によると、2021年8月時点(先の調査の実施されたタイミング)の日本の就業者は約6,700万人であることから、約1,500万人がテレワークを行っていたことになる(調査では80歳以上の就業者データは取れていないが、絶対数は少ないため、テレワーク実施比率は79歳以下の就業者と同様の比率として計算)。

さらには年間120日以上、つまり1年の3分の1以上もテレワークをしたという人は就業者全体の5%存在していた(テレワーク実施者<22%>内では約4分の1に相当)。これも同様に人数に換算すると約340万人となる。これだけの数のテレワークヘビーユーザーがコロナ禍をきっかけに生まれたのである。