中学受験のダークサイドに堕ちないために、親は何を心がけるべきか? 中学受験を描いた、漫画『二月の勝者』の作者・高瀬志帆さんと、小説『翼の翼』の作者・朝比奈あすかさん、ノンフィクション『勇者たちの中学受験』を上梓したばかりの教育ジャーナリスト・おおたとしまささんが、過熱する一方の中学受験の問題点について、熱論を繰り広げました。中学受験関係者必見の鼎談全3回、中編をお届けします。

中学受験に失敗しても「おしまい」なんてない

高瀬志帆(以下、高瀬):本人が載せているエンジンの性能も違うし、子どもが100人いたら100の中学受験があります。だから100%のノウハウなんてありません。それなのに、親が頑張らないと子どもがいい結果を出せませんよ、あなたの責任ですよって言われたら……。

おおたとしまさ(以下、おおた):それってもうカルトと一緒ですよね。あなたが今ここでこういうことしないと、お布施をしないと、ご先祖さんが不幸になっちゃうんだ、地獄行っちゃうんですよみたいな脅しと同じ構造だから。

朝比奈あすか(以下、朝比奈):すごい洗脳も感じますよね。

高瀬:私の漫画の登場人物についても、「親が悪い」なんて批判を聞きますけど、その親が囲まれてる環境も、100例あったら100通りあります。実際はお姑さんとかがみんなで圧力かけているわけで、親の責任だけが強調される風潮にも問題があります。『翼の翼』(光文社)でも描かれていましたよね。夫の親からのプレッシャーもあったりして。

高瀬志帆 高瀬志帆(たかせ・しほ)/漫画家。週刊ビッグコミックスピリッツで『二月の勝者−絶対合格の教室−』を連載中

朝比奈:塾もママ友もお姑さんも、取り巻く世界全部がプレッシャーをかけてくる。

高瀬:「たかが中学受験」って誰も言ってくれない。むしろ情報の洪水の中でどんどん不安をあおられて、だから失敗したらもう「おしまい」だと思ってしまう。「おしまい」なんてないのに。

朝比奈:検証されてこなかったんでしょうね。受験のシステムが親や子どもにどういう心の傷を残すのかっていうことを、しっかり時間をかけて調べられていない。

おおた:確かに。