人々の消費行動の変化や少子高齢化などの影響に伴い、自社の商品やサービスの差別化を図る“ブランディング”に注目が集まっている。数多くの企業のブランディングをサポートしてきた大伸社コミュニケーションデザインによる『手にとるようにわかる ブランディング入門』より、ブランディングは中小企業やBtoB企業にこそ有効な理由を解説する。

あらゆるものがブランディングの対象になる

ブランディングと聞くと、一般消費者向けの商品や大手企業が取り組むことだと決めつけている人が多いように感じます。おそらくテレビCMや雑誌広告がブランディングだと捉えているのでしょう。

しかし実際にはそうではないのです。まず企業に関して言えば、業種・業態・規模に関係なくブランディングが可能です。大手BtoC企業と反対の中小BtoB企業でもブランディングはできますし、もっと言えば中小企業やBtoB企業こそブランディングに取り組んでほしいのです。

また対象は企業や商品・サービスだけではありません。団体・国・地域も対象になります。たとえば村興し・町興しにもブランディングが活用できます。そればかりか建築物や個人といった個別のものでもブランディングができるのです。世の中でブランディングの対象にならないものを探すほうが難しいかもしれません。

私たちは中小企業にブランディングをおすすめしています。中小企業にブランディングをおすすめする理由は単純です。ブランディングに取り組んでいる企業が少ないので、伸びしろも大きく、他の中小企業に差をつけやすいからです。それだけでなく、大企業とも差別化することにもつながります。

なぜ中小企業がブランディングをすると大企業と差別化できるのでしょうか。

1つは、大企業はグローバル展開・他業種展開していることが多く、ブランドのコアを決める際にどうしても抽象度が高くならざるを得ないからです。その点、中小企業はいわゆる「尖った」コアを定めることができます。

たとえば地域一つとっても、大企業は全国・全世界をターゲットにしなければなりませんが、地域密着の業態をとっている中小企業であれば、対象地域をブランドのコアに含めることで、その地域においては大企業と差別化することが可能になります。

あるいはコスメであれば、大手化粧品メーカーはどうしても幅広い世代を対象に考える必要がありますが、中小企業であれば「20代の働く女性専門」とブランドのコアを定めることも可能です。仮に大手化粧品メーカーが同じコアのブランドを展開したとしても、それ専業のメーカーならば十分勝算があります。

と言うのは、ブランドのコアが尖るだけでなく、中小企業のブランディングが大企業に比べて有利な点がもう1つあるからです。それはインナー・ブランディング、すなわち社内浸透が容易であることです。