超高齢化社会が進む日本で、イノベーションの担い手となる若手の減少が悩ましい現代。さらに主要産業は衰退化し、国際競争力が弱まっていることも課題である。こうした課題を解決するため、「自ら事業を切り開いていける力」を持った人間を創出するのが、アントレプレナーシップ教育の狙いだ。

2014年度から文部科学省主導のプログラムを全国の大学が導入するなか、日本で唯一学部としてアントレプレナーシップ学部を創設しているのが武蔵野大学だ。2021年の学部開設から3年目の今、学生の現状や学部創設の思いを取材した。

イノベーションの担い手を増やす

2022年、岸田文雄総理大臣は「スタートアップ創出元年」と謳った。これは国の産業力や国際競争力の低下を懸念し、競争できる次世代人材作りを支援すること、そして新たな産業を発掘することが狙いである。スタートアップ企業の創出支援にとどまらず、次世代教育にも尽力する。

今は「自立して問いを導く力」が産業発展や、個々人の成長促進に必要だ。社会課題を自分事として捉え、失敗を恐れず、新たな価値やビジョンを創造できる人材、つまりイノベーションの担い手になる学生を増やす必要があり、義務教育にも「アントレプレナーシップ教育」を導入しようという流れだ。

文科省によるこれまでのアントレプレナーシップ教育施策(出典:文部科学省資料)

文科省の報告書では、日本はアントレプレナーシップに関する各種指標が他国より相対的に低いと指摘されている。大学(学部・修士)でのアントレプレナーシップ教育受講者は、全学生300万人に対して1万人と、わずか0.3%にとどまる。