中国のネットでは、「きれいになるために、この3カ国の女性はそれぞれ『神器』――日本は『化粧』、中国は『PS(PhotoShop〈フォトショップ〉)を代表とする写真加工ソフトやカシオの“EX-TRシリーズ”』、韓国は『美容整形』――を持っている」とよく言われるのだ。これは差別意識を含むものではなくて、"美の追求"という同じ目的のために、各国の女性が使う代表的な方法についてのジョークなのだ。

中国人女性は自撮りと美人加工に目がない。だからカシオもその受益者となっている。なぜ、日本人や韓国人と違い、中国人女性は自撮り用カメラと美人加工ソフトに夢中になり、写真上の美しさだけにこだわるのか。

「整形」を好まない中国人の考え方

まず、一般的に中国人は美容整形への抵抗感がかなり強い。中国は昔から儒教の影響を受けてきた。発展途上国であることも関係しているが、先進国の各国に比べると、「古い」考えを持っている。

孔子の言葉を記した中国古典『孝経』の一節で、日本でもよく知られている「身体髪肌、受之父母、不敢損傷、孝之始也(父母から受け継いだ身体や髪、肌を損なうのを避けることが孝行の始まりだ)」は、中国人の心の底までしみ込んでいる。

20世紀初頭まで続いた清朝で男女とも長髪だったのもこの影響だと考えられている。今の中高年層は、自分の子供たちと比べて海外との接触が少なく、比較的保守的な教育を受けていた。そのため、中には顔にメスを入れるどころか、脱毛やヘアカラーさえ、させてくれない親も普通にいる。

だから子供が、好きな女優の影響を受けて整形に行こうとしても、「とんでもない!」と伝統思想を持つ親に強く反対されるだろう。中国では特に20代半ばまでの女性の場合、結婚や遠隔地での勤務を除くと、基本的に実家暮らしなので、親の意見に左右され、整形したくてもできないのだ。

そして、「すっぴん」が1番だと思う社会環境もある。訪日中国人に、日本に来ていちばん驚いたことを聞くと、男女とも「女性がみんなメークをしている!」と答えることが多い。特に中高年の中国人女性にとっては、スーパーに行くのにさえ、時間をかけてBBクリームやファンデーションを塗る同年代の日本人女性を理解できない。

これは中国の伝統意識である「自然美」から来ている感覚だ。中国では漢方文化が深く根付いており、「体に良いものを食べ、生活規律を良くすれば、肌も自然にきれいになる」と強く信じられている。「すっぴん」できれいな女性こそが本当の美人だと思われている。その反対に、極端に言えば、しっかりとメークをしている女性は欠点を隠そうとしている「ブス」だと見なされかねないのだ。

中国の女性にとって、メークは自分のためではなく、特定のイベントやデートなどのためにするものだ。毎日おしゃれして化粧をすると、上司や同僚から「元の顔立ちが悪い」「何か特別な狙いがあるのでは……」などと思われる可能性がある。日本ではスーパーに行くときも化粧する人が多いが、中国では「変わった人だ」と思われてしまうだろう。