『新・観光立国論』が6万部のベストセラーとなり、山本七平賞も受賞したデービッド・アトキンソン氏。

安倍晋三首相肝いりの「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」委員や「日本政府観光局」特別顧問としても活躍している彼が、渾身のデータ分析と現場での実践とを基に著した『世界一訪れたい日本のつくりかた』が刊行された。

本連載では、訪日観光客が2400万人を超え、新たなフェーズに入りつつある日本の観光をさらに発展させ、「本当の観光大国」の仲間入りを果たすために必要な取り組みをご紹介していく。

訪日外国人観光客が年間2400万人を突破した日本の観光戦略には、実はまだまだ多くの「伸びしろ」がある。それを理解してもらうため、これまで2回にわたって、外国人観光客の宿泊事情を取り上げてきました。

1回目(外国人が心底失望する「日本のホテル事情」)では、観光には「多様性」が不可欠なので、格安ホテルだけではなく、お金持ちの外国人の懐事情に見合う「5つ星ホテル」を含めた整備も必要だということを説明しました。

この記事には、「日本に来たのだから、旅館に泊まるべき」という意見が多く寄せられました。

そこで、続く2回目(外国人が心底ガッカリする「日本の旅館事情」)では、外国人観光客にとって「旅館」というものが、実は日本のみなさんが考えているほど「快適」な宿泊場所ではないという現実をご説明しました。

現在の「旅館」というものは、戦後の爆発的な自国民増加をベースにして、1泊や2泊という「昭和の短期滞在客」をいかに多くさばくかという視点で発展してきました。そのため多くの場合、サービスが極限までマニュアル化されています。

多種多様なニーズをもつ2017年現在の日本人観光客にとっても、2週間程度の長期滞在をする外国人観光客にとっても「ミスマッチ」が起きているのは明らかですから、時代に則した「調整」が必要だと提言させていただきました。

すると今度は、「なぜ外国人のためにわざわざ日本のやり方を変えなくてはいけないのか」「だったら外国人など来てもらわなくて結構。日本人だけで静かに過ごせていい」という、感情的ともいえる反論を多く頂戴しました。

私は現実的な解決策を提示したつもりですが、一部の方たちには、日本文化のことをなにも知らぬイギリス人が、外国人が楽しめるよう日本の「伝統」を破壊しようとしているという誤解を与えてしまったようです。まずは、これらの「反論」に回答しておきましょう。