人手不足による売り手市場の今、アパレルブランドの採用も苦戦しています。いや、その前から苦戦していたと言うべきでしょうか。

文部科学省の調査によると、2001年から2016年までの間に、服飾・家政関連の学校を志望する学生は半分以下に減っています(文部科学省「学校基本調査」)。かつてはあこがれのまなざしを向けられることが多かったファッション業界。 夢見る若者たちがどんどん減っている中、アパレルブランドはどのようにして若者たちの興味を喚起し、採用につなげていくべきなのでしょうか。

「マネキン」と呼ばれる店頭販売員たち

アパレルブランドの中で最も採用ニーズが高いのが、社員の大多数を占める店頭での販売職です。ただ、多くのブランドは採用に苦労しています。

販売職の初任給は平均で18万円(キャリアガーデン調べ)。ここから家賃や光熱費、スマホ代などの生活に必要なおカネが引かれ、さらに店頭着用分の社販を支払うと、手元にほとんどおカネが残らないという現実があります。アパレル店員の平均年収は、300〜400万円が相場といわれています(同上)。

労働環境も過酷です。人材派遣会社のテンプスタッフの調べによると、休日は年間平均で96日〜104日。これでは離職率が高くなるのも致し方ないでしょう。

そもそも、ブランド側は販売職の正社員雇用を避ける傾向があり、非正規で雇用したり、派遣社員でカバーしたりするところが増えています。信じがたいことですが、派遣会社の中には、スタッフのことを“マネキン”と呼んで店舗に派遣している企業もあります。言わずもがな、マネキンとは商品を身に着けて店頭にただ置いておかれるだけの人形のことです。ここからも、販売員軽視の度合いがうかがえます。

なぜこれだけ待遇が悪いのか。それはアパレルブランドの側が販売職を”コスト”としてとらえているからにほかなりません。本来はブランドコンセプトや商品について深く理解し、お客様に価値をコミュニケートする"伝道師"となるべき存在なのに、誰でもできる仕事というふうに軽視されています。