2015年に始まったことりっぷのアプリ

そうした変化に対応すべく、2013年8月には「ことりっぷウェブ」、2014年5月には『ことりっぷマガジン』を創刊。そして、2015年にはアプリを始めた。テーマはズバリ「明日、どこ行く?」。従来のガイドブックのようにエリアではなく、テーマで区切った旅の情報や旬の情報を掲載し、「次の休みはどこへ行こう」と考えている読者に向けて旅先を提案するようになった。

たとえば、雑誌の最新号である夏号では、「奥に満ちる」というテーマで、鹿児島県・屋久島や青森県・奥入瀬、奥多摩サイクリングなど、「わざわざ行きたくなる」場所を数多く紹介している。

読者の反応がよりダイレクトに

それぞれの立場から「ことりっぷ」の業務に携わっている鈴木氏(右)と菊本氏(左)

ウェブ版やアプリの登場によって、読者の反応がよりダイレクトに届くようになった。記事へのアクセス数やコメント数から、「ここ数年で島旅が盛り上がってきている」「棚田と雲海はそろそろ下火」など、旅の流行が定量的に追えるようになり、それが紙面づくりにも反映されるようになった。また、地方ユーザーが投稿したユニークなスポット情報をネットや紙面で取り上げることもあるという。

「たとえば、駅からちょっと離れた場所にすてきなスポットができたなら、現地へ行って途中にあるお店も調べ、モデルコースをつくり紙面で紹介します。そうすると、投稿者も『本誌で紹介された!』と喜んでくださるんです。みなさんの投稿の一つひとつは“点”の情報なので、それを“線”にするのが私たちの役割ですね」(出版制作事業部旅行書編集グループの菊本歩氏)。

雑誌やウェブ、アプリが『ことりっぷ』本誌を購入するための新たな入り口の役割も果たしているようだ。

もともとファンが多かった『ことりっぷ』だが、アプリができたことでそれがコミュニティへと発展した。現在のダウンロード数は約60万で、そのうちアクティブユーザーは約3割とかなり高水準にあるのが特徴だ。

「インスタグラムだと良い写真を見つけたときに 『いいね!』を押して終わりですが、ことりっぷアプリではその写真を投稿した人の背景もわかるんです。『青森出身なんですね、ほかにおすすめはありますか?』と、ユーザー同士でQ&Aが生まれたりします。旅に求めるものや好きなものが近い人の集まりなので、おすすめされたスポットもしっくり来て盛り上がるようで。旅先を教え合う文化が醸成されています」(菊本氏)