ドナルド・トランプ米大統領が自分の家族、側近、あるいは自分自身の恩赦の可能性について検討中という報道(ワシントンポスト紙7月20日付)が大問題となっている。

トランプ氏の個人弁護士の1人は、恩赦について検討していること自体を全否定している。その一方で、大統領自身の恩赦については、それを決めるのは最高裁だと言明している。その可能性が、将来あるかないかについては否定していない。

トランプ大統領自身は、ツイッターで「大統領は自らを恩赦する完全なる権限(パワー)を所有している」として、その可能性を認めている。

自らの恩赦が米国憲法で認められるかどうかは五分五分

大統領が自らを恩赦するのは前代未聞である。弾劾に追い込まれて辞任したリチャード・ニクソン元大統領も、弾劾寸前まで追い詰められたビル・クリントン元大統領も、自らを恩赦するという話は表に出なかった。今回が初めてだ。

その恩赦の議論は学問的には存在する。1つは、大統領はその権限を持っているという学説であり、もう1つは持っていないという学説だ。後者の理由としては、「自らの事案で自ら裁判官にはなれない」という論拠がある。トランプ氏の個人的弁護士の1人が「それを決めるのは最高裁だ」というのは、その後者の論理的否定に応じたものだ。

米国憲法では、大統領の恩赦規定がある。米国憲法第2条は、弾劾の場合を除き、刑執行の延期または恩赦を認める権限を大統領に与えている。大統領の弾劾それ自体に関する恩赦はできないが、弾劾が成立していなければ、自らの刑事事件も、水面下で訴追前であっても、捜査の有無にかかわらず、大統領が自らに恩赦を与えることを禁じてはいない。