炎天下の中、温泉をはったアトラクションに、バスタオル1枚を身にまとった男女が乗り込んでいく――。現実離れしたあの街おこし計画がこの夏、ついに実現した。大分県別府市で、7月29日から3日間限定で開かれている、お風呂のテーマパーク、「湯〜園地」である。

「常軌を逸したイベントです。夢が実現しました」。

源泉数、湧出量ともに日本一の温泉都市、別府ならではの企画だが、構想から音頭を取った別府市長の長野恭紘氏でさえ、開催前日、驚きの表情でこう語った。

冗談のような公約が現実に

「湯〜園地」の構想が生まれたのは昨年11月。全国から温泉に携わる関係者が集まる会議で、別府市が発信した宣伝動画がそもそもの発端だった。「別府市全体が温泉のテーマパークのような場所」とアピールするために、市内の遊園地、ラクテンチで仮想「温泉テーマパーク」をつくり、動画に収めたのだ。

実際、ジェットコースターやメリーゴーラウンドなどに温泉水12トンを運び入れ、150人の市民を動員し、CGを使わずに動画を完成した。この一風変わった動画をユーチューブで公開するとアクセスが急上昇。「閲覧者が100万を超えたら、温泉テーマパークを実現させます」と、長野市長がノリ半分で公約すると、3日間で再生回数が100万に達し、まさかの結果に、市長は「やっちまった」と頭をかいたという。

「安全面などで、動画のとおりに実現できなかった部分もありますが、総合力で映像を上回る楽しさあふれるテーマパークになりました」と、長野市長は開園直前、胸をはった。
 
温泉と遊園地はほんとうに融合できるのか。実際に湯〜園地を訪れてみた。ドレスコードは「水にぬれてもいい恰好」。周りを見渡すと、本当に話題になった動画と同じようにバスタオル1枚をはおった人だらけだ。