逆に海外投機筋が、日本株全体を売り込もうとすれば、日経平均先物を売りに回った。これが日本株全般を押し下げたが、売りは日経平均採用銘柄中心にかさんだ。このため、NT倍率が低下しながら、日本株全体が下落する展開となった。

今見てきたような関係がこれまでのパターンであったが、2016年以降、動きがばらばらになっている。たとえば、NT倍率は、2016年8月に大きなピークを形成したが、その当時はブレクジット(英国のEU離脱)を決めた国民投票を受けた相場の低迷期に当たり、NT倍率と株価指数の動きは、むしろ逆であった。

こうした関係の変化は、海外短期筋の相場に与える「神通力」の低下を示しているわけだが、それは、国内外の長期筋が、丹念に企業実態に基づいて個別株を買い入れ、それが短期筋の先物売買の影響力を減じている、という面があると考えている。もちろん、日銀のETF買い入れや、一頃のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の株式比率引き上げの影響もありそうだ。

足元では、海外短期筋によると推察される日経平均先物売りにより、NT倍率は大きく低下し、先週は2016年4月のボトムの水準を下抜けて、同年2月初旬以来の低水準となっている。

短期筋の先物売りは、米ドル安・円高や、安倍内閣支持率の低下を「ネタ」にしたものだろう。しかし国内株式市況全般としては、そうした売りにより確かに上値は重いが、2万円を割れては超えるという推移を繰り返しており、底固いと言える。それはやはり、現在続いている4〜6月期の企業の好決算など、企業実態の改善を支えとした、内外長期筋の現物買いによるものだと考えられる。

小型株優位の展開が続いている背景とは

過去有力だった国内株式市況全般との連動性が、失われているデータは、NT倍率の他にもある。TOPIXの規模別株価指数(大型、中型、小型)をとって、大型株指数を小型株指数で割った比率を取ると、以前はその比率と株式相場全般(日経平均なり、TOPIXなり)の相関が高かった。

これは、海外投資家は、現物株を売買する場合はやはり代表的な国際企業を対象とする場合が多く、外国人の売買で株式市況全体が上下する際は、大型株主導で市況が動いたからだろう。

ところが昨年9月以降は、前述の比率が低下しながら、株式市況全般が上昇気味で推移している。すなわち、小型株主導で市況が動いているわけだ。