世界のあらゆる工業製品の中で、自動車産業は最大マーケットを誇っている。いまや自動車の年間生産台数は世界全体で1億台の大台が射程に入ってきており、関連産業を加えればおおよそ400兆円を超える巨大市場が構築されようとしている。

130年に一度ともいわれる次世代自動車革命が加速する中で、まさに「自動車立国」ともいうべき日本がどのような戦略で戦っていくのかに、世界の関心が集まっている。

40年近くにわたって半導体報道に携わり、この分野で業界最古参のカリスマ記者と称され、現在も自らが立ち上げた電子デバイス産業新聞で記事を書き続ける泉谷渉氏が、近著『日本vs.アメリカvs.欧州 自動車世界戦争』の中で、次世代自動車や車載ビジネスの最新動向を徹底取材した。自動車が牽引する日本製造業の未来図を展望する。

次世代自動車は「走るコンピュータ」「走る家電」

自動車業界にIoT革命の大きなうねりが訪れようとしている。安全意識の高まりからADAS(先進運転支援システム)が一気に浮上してきた。かつては夢といわれた完全自動運転に向けた動きも推進されており、自動車の電装化率も高まっている。

さらに、環境意識の高まりから史上空前のエコカー旋風が巻き起こってきている。EV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)、さらにはPHV(プラグインハイブリッド車)などの一大ブームが到来したのだ。さらなる進化形としては人工知能を搭載したコネクテッドカーへの対応も加速しており、まさに自動車は「走るコンピュータ」「走る通信機器」「走る家電」へと進化を遂げようとしている。

このように、次世代自動車をめぐる世界バトルがますます激化する中で、日本のデバイス企業の存在感もまたいやがうえにも高まっている。現在においても1台の自動車には数多くのセンサーが積まれているが、次世代自動車への搭載数は飛躍的に伸びると予測されている。このセンサー技術で日本勢は世界を圧倒している。