日銀の黒田東彦総裁が3月15日の定例記者会見で、「物価の安定という日銀の使命を果たすためには2%の物価目標を実現していくことが必要だ」と語った。物価目標の達成に向けて、今後も粘り強く金融緩和を続ける方針のようだ。

金融緩和継続でも、物価はあまり上がりそうもない

しかし、筆者は日銀に2%の物価目標をそろそろ取り下げることを提言したい。22日に発表された消費者物価指数は前年比+0.2%だった。また、変動の激しい生鮮食品とエネルギーを除いた指数は前年比+0.4%である。依然として目標達成までは長い道のりだ。このままだとおそらく半年先も同じ感想を述べることになるだろう。なぜなら、消費者物価指数はまだ下振れる余地が残っているからだ。

下図は消費者物価指数を構成する品目ごとの価格指数のうち、電気代の価格の推移に、原油価格の推移を日本円に換算し、8カ月先行させて重ねたものだ。

(出所)総務省統計局「消費者物価指数」を基にマネネ作成

このように原油価格の影響は数カ月の時間差を経て、国内の物価に影響を与えていることがわかる。年明け以降、原油相場は緩やかながら上昇を続けているが、昨年10月から年末にかけての下落はまだ完全に国内の物価には反映されきっていないのだ。つまり、いくら緩和をしたところで、目先数カ月はこれまでと変わらない結果になるだろう。

現在、日銀は金融政策を決定する際に消費者物価指数の数値も参照している。しかし、本当に消費者物価指数は「経済の体温計」として万能な指標なのだろうか。すでにいろいろいわれてもいるが、筆者もこの指標が一国の金融政策を決定する指標とするには十分ではないと考えている。その理由を説明するうえで、難しい言葉を使ってもあまり意味がないので、実際に筆者の生活における具体的な例を挙げてみたい。