労災保険の申請は、事業場を所轄する労働基準監督署に請求書を提出し、労働基準監督署において必要な調査を行い、請求が認められると保険給付が受けられます。代表的なものとしては、「療養補償給付」があります。通常、私たちが病院に行く際は、保険証を提示して自己負担額を支払います。しかし、受診した医療機関が労災保険指定医療機関の場合、医療機関を経由して労働基準監督署に請求書を提出することで、労災認定を受けると医療費を支払う必要がありません。

これは、いわゆる「現物給付」と言われるもので、実質的に無料で療養が受けられます。仮に、受診した医療機関が労災指定病院でない場合でも、いったん全額の療養費を立て替えて支払い、後から療養費を請求することもできます。

さらに、労働災害により休業した場合には、休業4日目から「休業補償給付」と「休業特別支給金」が、合わせて給付基礎日額の80%支給されます。休業1〜3日目の休業補償は、労災保険から給付されませんが、労働基準法で定める平均賃金の60%を事業主から支払われます。

また、職場の熱中症が原因で障害が残った場合は「障害補償給付」が、万が一亡くなった場合には家族に「遺族補償給付」があります。普段あまり関わりをもたない労災保険制度ですが、実はとても労働者にとって手厚い仕組みになっています。

屋内でも熱中症の予防対策を

屋外での作業が多い職場では、WBGT値の低減に努めるなど、安全管理対策への意識は日ごろから高いものと思われます。意外と盲点となってしまうのは、屋内での作業ではないでしょうか。熱への順化(熱に慣れ環境に適応すること)の有無が熱中症の発症リスクに大きく影響しますが、これは個人差もあります。屋内でも高温多湿の場所で作業をするときは、短い時間であっても適度な通風や冷房をかけることを心掛けることは言うまでもありません。

今や夏の定番となったクールビスですが、通気性のよい服装を着用させることを社内で推奨するのは望ましいと言えるでしょう。ちなみに、環境省は夏の熱ストレスを一人ひとりの工夫で低減できる暑さ対策として、暑さ指数の低減効果が比較的高い「日傘」の活用を推奨しています。

また、自覚症状の有無にかかわらず、水分・塩分を定期的に摂取するように心がけたいものです。とくに、加齢や疾患によって脱水症状であっても自覚症状に乏しい場合があり、気をつけたいところです。

夏は、仕事帰りにビアガーデンのビールが最高だ、という方は案外多いかもしれません。前日の飲酒や朝食の未摂取、睡眠不足などが熱中症の発症に影響を与えるおそれがありますので、日常の健康管理にはくれぐれも気をつけましょう。

著者:佐佐木 由美子