「事故物件」という言葉を耳にするようになってきた。

病気や事件、事故などにより、その土地や建物内で入居者が亡くなった物件を指す。このような物件は、心理的瑕疵(かし)があるといわれる。宅建業法上で「それを知っていたら契約しなかった」だろう事実は、契約前に説明をする必要がある。むろん、後ろめたい過去を持つ事故物件には入居者が集まりにくく、不動産業界にとっては悩みの1つだ。

実は、どこまでが「事故」にあたるかの線引きは必ずしも明確ではない。孤独死からの発見が何日後までだったら瑕疵にあたらないか、マンションの別の部屋で亡くなった場合はどうか、などだ。それでも、人が亡くなったという事実が知れ渡れば、部屋や建物の状態にかかわらず不動産価値は目減りしてしまう。

掲載されているのはすべて事故物件

たまたまそこで入居者が亡くなっただけで、不動産に罪はない。それでも、市場での評価はガタ落ちしてしまう。例えばUR都市機構は「特別募集住宅」と称し、事故物件の家賃を一定期間半額にして募集している。

そんな中、事故物件を救えないかと考えた不動産会社が1つのサイトを立ち上げた。

成仏不動産を運営する花原浩二社長(記者撮影)

成仏不動産――。意味深な名称のホームページが開設されたのは今年4月のこと。一見すると普通の賃貸・売買物件のポータルサイトだが、掲載されているのはすべて前の入居者が亡くなった事故物件。開設したのは、横浜市に拠点を構える不動産会社「NIKKEI MARKS(ニッケイ マークス)」だ。

もともとは住宅建築やリノベーション、不動産売買を手がける会社で、事故物件をビジネスとしていたわけではない。きっかけは今年1月、社長の花原浩二氏の元に、業者から「事故物件を買ってくれないか」という依頼が舞い込んだことだ。