つかの間の安定に、世界が”油断”していたときだった――。

9月14日、サウジアラビアの油田地帯で東部州にある、国営石油会社サウジアラムコの石油施設が爆撃された。サウジアラビア石油相の声明によると、この攻撃によって、サウジアラビアの石油生産の50%に相当する、日量570万バレルの生産が止まった。これは世界の原油供給量の5%にも相当する量だ。

同石油相によれば、犯人は、イエメンの反政府シーア派組織であるフーシ派。フーシ派は10機のドローンで爆撃したと声明を出している。他方、AFP=時事によると、米当局者の見方として、爆撃にはイラン領土から巡航ミサイルが用いられた、と断定したことを明らかにした。いずれにしても、直ちにアメリカのトランプ大統領は、「攻撃の背後にイランがいる。アメリカは報復の準備がある」とツィッターで非難している。

イエメンの内戦では、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が軍隊を派遣して介入し、かつてのベトナム戦争にも似た泥沼に陥っている。一方、反政府勢力のフーシ派には、イランが支援している。この流れで事件は起こった。

朝と夕で180度変わるトランプの心理

サウジアラビアの産油量の50%が止まったという報道に、原油市況は過敏に反応した。9月16日の世界の原油市場は一時20%近くも上昇。米中貿易摩擦に起因する景気後退懸念から、1バレル50ドル台と低迷していた原油価格は、たちまち60ドル台に乗せたのである。

アメリカのイランに対する軍事攻撃はあるのか。流れを見る限り、「ある」という可能性が高いが、トランプ大統領の発言は朝と夕方で180度変わる。

今回も同じだ。トランプ大統領は16日、サウジアラビアの石油施設への攻撃に対し、「イランが関与した可能性が高い」との認識を示した。一方で、イランに対する軍事行動については「戦争は望まない」と、慎重な姿勢を表した。