クルマは家電になる――。

クルマは、モーターで駆動する「電気製品」となると同時に、冷蔵蔵やエアコンのような「汎用品」となる時代を迎えようとしています。

「CASE(Connectedコネクテッド、Autonomous自動運転、Shared&Serviceシェアリング、Electric電動化)」の実現で、豊かな社会を築くためには、どのような準備が必要なのでしょうか。『自動車(クルマ)が家電になる日〜2030年‐これ1冊で「モビリティ革命」の全容がわかる!〜』の著者である鈴木誠二氏に、生活者視点も加味し、モビリティ革命を発展させるための、「CARS」というコンセプトについて聞いてみました。

自動車依存度が高い地域生活の実情

自動車の最新の技術は、「買い物難民」や「引きこもり高齢者」など、地域の移動弱者救済に多くの期待が寄せられています。しかし、自動運転や電動化といった画期的な技術の進展を地域の生活者が積極的に受容し、自らの生活の豊かさに活用していくためには、もっともっと生活者視点の議論を活発にしていく必要があると思います。

私は、2012年から群馬県みなかみ町藤原地域の自動車生活をフィールドワークしています。対象の地域は、群馬県保険医療計画のへき地診療の対象地域となっており、診断を受けるのも、日用品や食料の買出しも、町の中心部に往復約2時間かけて自家用車で行かなくてはなりません。

なので、生活者の自家用車の走行距離や、自動車の乗車時間がとても長くなります。さらに、関東有数の豪雪地帯なので、スタッドレスタイヤの交換などメンテナンスも欠かせません。しかし、メンテナンスを請け負うガソリンスタンドや整備工場が充足していません。このような環境を、生活者はどのように捉え、どのような地域文化を形成したのか調査しました。

その結果、長時間/長距離の自動車移動は、日常生活をリフレッシュし、定期的なコミュニケーション機会(ガソリンの給油や、メンテナンス依頼等)を得るといったメリットが、不便さを上回っていることがわかりました。つまり、生活の為に、やむなく長時間/長距離の自動車移動を受容しているのではなく、それも、地域生活の魅力の1つとして捉えられていたのです。