「うちはたくさん苗を育てているので、なんとかカバーが利くかもしれませんが、小規模なところだと全滅ということになりかねない。千葉のイチゴ農家の被害は本当に深刻なんです」

こう話すのは千葉県東金市でイチゴを生産する猪野裕斗さん、27歳。

あまり知られていないかもしれないが、千葉県は2017年にイチゴの生産量全国9位(農林水産省統計)。「チーバベリー」や「黒いちご(正式名称「真紅の美鈴(しんくのみすず)」)」などの千葉県独自の新種イチゴも次々生み出しているイチゴ生産県だ。

千葉のイチゴを襲った深刻被害

9月上旬に日本列島を襲った台風15号は、千葉県のイチゴ農家に深刻な被害をもたらした。

千葉県産の新種「黒いちご(真紅の美鈴)」(2018年猪野さん撮影)

千葉のイチゴにいったい何が起きているのか? 猪野さんのイチゴ農園取材で見えてきたのは、台風上陸から1カ月近くたった今でも被害が深刻化している状況だった。

「このままでは、いちばんの書き入れ時であるクリスマスの時期にイチゴの出荷が間に合わなくなるのではないか」という、千葉のイチゴ生産者たちの死活問題に関わる事態が現在進行中なのだ。

「台風対策は僕たちもしていたんです。ハウスのドアの開口部にパイプを打ち付けて、風で押されてもパイプで止められるようにして、換気扇を回しっぱなしにして風の逃げ道を作りました。中に風が入っても内側から持ち上げられて飛ばされないようにして。それでも全然ダメでした。風の勢いが強すぎました。8割のハウスが被害を受けてしまったんです」

倒壊した猪野さんのビニールハウス(筆者撮影)

猪野さんはビニールハウスの被害のあまりの大きさに目を疑ったという。完全に潰れてしまっているハウスもあり、ビニールが飛ばされたハウスや、換気扇や入り口のドアが吹き飛ばされているハウスもあった。

そして、一見大丈夫そうに見えるハウスの骨組みも、風の力によってパイプが曲げられてしまい、修理しなければ使えない状況になっているものが多かったという。

「今はビニールを入手するのすら順番待ちなので、にっちもさっちもいかない状況になっています」