去る9月、東京大学本郷キャンパスで、船橋洋一氏が理事長を務めるアジア・パシフィック・イニシアティブの主催で、『日本の「代案」を探求する――政策コミュニティーとパブリック・キャリア』と題するシンポジウムが開催された。

登壇者は小泉進次郎・自民党厚生労働部会長(当時、現・環境大臣)、須賀千鶴・世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター長、藤沢烈・RCF代表理事、鈴木寛・東京大学公共政策大学院教授、小林史明・衆院議員ら。

今年6月から開始した連載「21世紀のシンクタンク・パワー」の特別編として3回にわたって、本シンポジウムの議論を再構成した。まずは1回目は小泉氏の基調講演「政策起業家とオルタナティブを探す政策コミュニティー」をお届けする。

「革新的なアイデアを政策起業家と共にどのように打ち出してきたのか、具体的な例を挙げて話してくれ」というお題をいただいています。

今日は、これまで私が一緒に汗を流してきた政策起業家、元官僚、同僚議員がパネルディスカッションのパネリストとして集まっておられます。その皆さんと一緒に、私がこれまでどんなことをしてきたのか、どのようにして政策を作り上げてきたのか、それについてお話ししたいと思います。

私は政策づくりも政治も、そして人生も「縁」だと思っています。今日、私がここにお招きいただいたのも、アメリカのCSISというシンクタンクで働いていたときに、よくお会いしていた船橋洋一さん(アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長)とのご縁があったからです。

そして、政策づくりも政治も情熱がなければできません。淡々と生きないで熱く生きる。その中で必ず魅力的な政策や政治が実現できると思っています。なぜ、そのようなことを申し上げるのか。それは、今日お集りのパネリストの皆さんと私は、縁あって出会い、互いに情熱をぶつけ合って政策を作ってきたからです。それが私の実感です。

政策起業家と政治家が連携して政策を実現

では、政策起業家や官僚の方々と協力、協働して革新的な政策を作り上げてきた事例をお話しします。まず、NPO法人のRCF代表理事の藤沢烈さんです。藤沢さんと私は、東日本大震災の復興の取り組みの中で出会いました。当時、復興支援のため、財務省の官僚を含め中央省庁の若手官僚が東北の沿岸の小さな町にも派遣され、汗を流しました。

とくに印象的だったのは、岩手県釜石市に派遣された財務官僚の嶋田賢和さんが、10カ月後に、地元の人々に請われて副市長に就任したことです。彼は当時29歳でした。