今年6月から開始した連載「21世紀のシンクタンク・パワー」の特別編として、去る9月に東京大学本郷キャンパスで開かれた『日本の「代案」を探求する――政策コミュニティーとパブリック・キャリア』と題するシンポジウムの議論を3回にわたって再構成した。

特別編2回目は船橋洋一・アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長がモデレーターとなり、須賀千鶴・世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター長、藤沢烈・RCF代表理事、鈴木寛・東京大学公共政策大学院教授、小林史明・自由民主党青年局長代理/行政改革推進本部事務局長 衆院議員(肩書きは取材当時、9月24日付で自由民主党青年局長)を招いて展開したパネルディスカッションの前編をお届けする。

【2019年10月20日17時00分追記】初出時、小林史明氏の肩書きが取材当時のみの表記だったため、上記のように修正いたしました。

船橋洋一(以下、船橋):パネリストの皆さんにご発言いただく前に、なぜ、シンクタンクは重要なのか。その問題意識を共有しておきたいと思います。

危機の時代に生まれたシンクタンク

世界の有力なシンクタンクは、ほとんど例外なく危機の時代に生まれています。戦争や大不況などに見舞われ、「これまでどおりのやり方では、危機を乗り越えられない」という問題意識が生まれたとき、それまでの問題をしっかり検証したうえで、新しい解決策を研究し提案する。

社会にそのようなニーズが生まれたとき、それに応えるために設立されたのがシンクタンクです。とくにアメリカやイギリスでは、その傾向が非常に強いと思われます。

それを踏まえて、今日の世界や日本の状況を鑑みるとき、いずれも危機的な状況にあることは間違いありません。世界では国際秩序がどんどん崩れています。力のある国が有無を言わさずに自国の意思を押し付けようとする。新たに台頭してきた国が、これまでの秩序を打ち破ろうとする。そういう中で新たな対立が生まれています。

あるいは、第4次産業革命が進行し、AI技術や5Gといった新しい技術が社会実装化されていく中で、どのようなルール作りが必要なのか、世界は迷走を続けています。分断や対立、格差といったことをなるべく回避し、より包括的で持続的な成長や安定をどのように構築していくかという課題が突き付けられているのです。