2019年6月、しなの鉄道社長に春日良太氏が就任した。前任の玉木淳氏が東京海上日動火災保険から出向していたなど、これまで歴代社長の多くが民間出身者だったが、春日氏は元長野県職員だったことが注目された。新幹線開業に合わせJRから切り離された並行在来線を運営する各地の第三セクター鉄道会社が経営面で苦戦する中、しなの鉄道は黒字を維持している。しなの鉄道は今後どのような経営戦略で進もうとしているのか。春日社長に聞いた。

なお、本インタビューは10月4日に実施した。このたびの台風19号では、しなの鉄道および周辺地域でも影響があった。被害を受けた方々にお見舞い申し上げたい。

既存の計画を着実に

――これまでの社長の多くが民間出身でしたが、春日さんは長野県職員出身です。会社の方向性が変化したのでしょうか。

変化ではない。むしろ、これまでの計画を承継して発展させていくことが、最大株主の長野県から求められている。県職員から4年前にしなの鉄道に入社した。玉木前社長が任期中に始めた事業を専務として共にやってきた。その路線を着実に実行し、発展させていくことを託されたと考えている。公務員時代の知識と経験を生かしながら、民間のアイデアやスピード感を取り入れてやっていきたい。

――しなの鉄道はどのような経営状況でしょう。

営業損益は黒字を保っている。県内で人口が1位の長野市、3位の上田市が沿線にあり、通勤・通学の利用者が多いことに加え、軽井沢を中心とした観光地に県内外の人が訪れる。これらが会社の優位性となっている。

しかし、2040年までに沿線人口は2割減少すると見込まれており、それは利用者数の低下につながるだけでなく、当社の働き手の不足も予測される。現在社員の平均年齢が約35歳で、今後人件費が上がっていくことも確実だ。また、新型車両や今後老朽化する設備の更新投資による減価償却費も重荷になる。

――それに対して、どのような経営計画を立てていますか。

2018〜2022年の第4次中期経営計画では、①鉄道運賃のみでなく関連事業収入を増やす、②経費削減、③社員ひとりひとりの生産性向上、の3点によって地域鉄道としての使命を果たそうとしている。そのために車両の更新と軽井沢事業という2大プロジェクトを打ち出し、進めていこうとしている。それが、長期的な経営の安定につながっていく。