昨今の経済現象を鮮やかに切り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する――。早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問の野口悠紀雄氏による新連載をスタートする。

何でもすぐに写真を撮るようになった

研究会などでホワイトボードに書かれた内容を撮影するのは、ごく普通に見られる光景となりました。

かつてのように重いカメラは必要ではなく、どこにでも持ち歩けるスマートフォンで簡単に撮影できるようになったことが大きな理由ですが、それとともに、写真をいくら撮っても、ほとんど無料で、事実上いくらでも保存できるようになったことの影響が大きいと思われます。

これは、写真に対するこれまでの考えを大きく変えるものです。

一昔前まで、写真は高価な情報保存手段でした。フィルム代、現像代、プリント代がかかり、それをアルバムに貼らなければなりません。このため、これまで写真を撮るのは、旅行や運動会などの特殊な場合でした。

それが、「タダでいくらでも保存できる」ということになったのですから、写真に対する考え方は基本的に転換することになります。ホワイトボードの情報をメモするために写真を撮るというのは、その1つの表れにすぎません。