ヤフーを運営するZホールディングス(HD)とLINEが経営統合に向けた交渉に入っていることが明らかになりました。

11月13日夜に日本経済新聞などが一報を報じると、14日朝にZホールディングスは「協議を行っていることは事実ですが、現時点で決定した事実はありません」、LINEは「企業価値向上のための施策の1つとして検討を進めていることは事実ですが、当社として決定している事実はございません」とそれぞれリリースを出しました。

このまま報道の通りに経営統合が決まるかどうかは予断を許しませんが、LINEアプリの利用者は約8000万人、ヤフーのサービス利用者は約5000万人に上ります。もし、実現すれば金融やEC、小売りなども含めた大規模なサービス基盤が誕生し、国内IT産業の勢力図に大きな影響を与えることは確実です。

両社の統合にはどんなメリットがありうるのでしょうか。カギを握るのは、ヤフー傘下のPayPayが提供する「ペイペイ」、LINEが手掛ける「LINEペイ」というスマホ決済サービスです。

まず、「ペイペイ」に言及しておきましょう。

経済産業省の『キャッシュレス・ビジョン』(2018年4月)によれば、日本のキャッシュレス決済比率は、韓国の89.1%や中国の60.0%に対して、わずか18.4%にとどまっていました(2015年)。政府は、それを「大阪・関西万博に向けて、(中略)キャッシュレス決済比率40%の目標を前倒しし」「将来的には、世界最高水準のキャッシュレス決済比率80%を目指し、必要な環境整備を進めていく」としています。

2019年10月1日からの消費税増税とあわせては、「キャッシュレス・ポイント還元事業」が展開され、キャッシュレス社会への転換が図られています。

ソフトバンクグループの総力を挙げるペイペイ

そうした中、日本のキャッシュレス化を牽引、スマホ決済サービスのシェアを飛躍的に伸ばしているのが「ペイペイ」です。PayPayは、2018年6月、ソフトバンクとヤフー(2019年10月1日に会社分割を通じて持ち株会社体制へ移行、商号を「Zホールディングス株式会社」へ変更)それぞれ50%の出資で設立されました。

その後の2019年5月、ソフトバンクグループがPayPayへ追加出資したことで、PayPayの資本構成はソフトバンクグループが筆頭で50%、ソフトバンク25%、ヤフー25%へと変更されました。ソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資するインドのPaytmも技術協力し、グループ総力を挙げての事業体制を構築しています。

ペイペイは、話題をさらった2回もの「100億円キャンペーン」や「キャッシュレス・ポイント還元事業」関連施策などを通して登録ユーザー数は1900万人(2019年11月)、月次決済回数で約8500万回(2019年10月)となっています。QRコード決済サービスのユーザー利用意向ではペイペイが独走、また「現金以外で思い浮かぶ決済手段」もクレジットカードを除けばペイペイが1位となっています。

通信事業の成長が描けないソフトバンクはペイペイを「新領域」と位置づけ、システム不具合などを経ながらも登録ユーザー数と加盟店拡大に攻勢をかけています。