まさに「チームプレー」の賜物だ。JR東海が運行する東海道新幹線では2020年3月のダイヤ改正で、1時間当たり片道最大で12本の「のぞみ」を運行する「のぞみ12本ダイヤ」を開始する。

1992年のデビュー当初は1日にたった2往復の運行にすぎなかったのぞみだが、現在は利用者の多い朝夕や大型連休などの多客時を中心に1時間当たり片道だけで最大10本が運行する。それをさらに2本増やす。東海道新幹線にはほかにも1時間あたり「ひかり」が2本、「こだま」が3本も走っている。しかも、時刻表に記載されていないが、東京駅付近には大井にある車両基地への回送列車のダイヤも3本存在し、すべて合わせると1時間に最大で片道18本の列車が走行する。

これ以上本数を増やすのは容易ではない。しかし、JR東海の各部署が、パスをつなぎトライを目指すラグビーさながらのチームプレーで、のぞみの2本増発にこぎつけたのだ。

臨機応変に列車を増発

「金曜日夕方の下り列車など、平日でも時間帯によっては満席状態になることがある。満席は一見、鉄道会社にとっていいことに見えるが、お客様にとっては“品切れ”の状態であり、改善を急がねばならない」とJR東海・新幹線鉄道事業本部の辻村厚・運輸営業部長が話す。

東海道新幹線が1年365日、同じダイヤで運行されることはない。お盆や年末年始などの多客期など状況に応じて、日々ダイヤが設定される。沿線で大きなスポーツイベントや音楽ライブが開催されると終了時刻の21時台の列車が混雑する。「これを見落とすと、お客様にご迷惑をかけてしまいかねない」(辻村部長)。そのため、指定席の発売状況を見ながら臨時列車を出すべきかを事前に検討する。ライブについては出演者もチェックする。

出演者によって動員人数も交通の利用傾向も変わってくる。例えばシニアに人気のミュージシャンなら公演終了後は観客は現地で宿泊する可能性があるが、10代に人気のミュージシャンなら観客はその日のうちに帰宅する。このような一時的な需要の増加に対しても、のぞみ12本ダイヤが大きな効果を発揮する。