こうした新規参入論を後押ししたのが技術の進展だ。そもそも放送に使われる帯域には限りがある。以前までは、一般の地上波と同じHD画質を衛星で放送するには帯域の枠が16スロット必要だとされていた。しかし、技術の進展によって放送に必要な周波数が減少し、以前より4スロット少ない12スロットでも放送できるようになった。

この4スロット分をいくつかの事業者から集めることによって、新たに3事業者が参入することができる放送枠が生まれたのだ。

新規参入は「なぜ4Kを推進している中、4Kではない事業者を増やすのか」という一部事業者の反発や帯域削減の調整などもあり、進んでこなかった。しかし、総務省側の強い意向や放送事業者の厳しい事業環境などを背景に、スロット削減の議論が本格化。8事業者13チャンネルから合計42スロットの返還が申し入れされた。

通販が主力のジャパネットもBSに参入

スロット削減には事業者側にもメリットがある。今回、スロットを削減することが決まったあるBS放送の事業者は「衛星使用料が減少し、だいたい年間1億円のコスト削減につながる」と明かす。スロットを削減する側にもメリットを提示できたことが、今回のスロット一部返上につながったようだ。

「テレビの影響力が魅力的だった」と語るジャパネットHDの高田春奈取締役(撮影:尾形文繁)

今回、新規参入する3社の中でも異色なのが、ジャパネットHDだ。吉本興業や松竹は従来からそれぞれ映画や放送を手がけていた。しかし、テレビ通販が事業の柱であるジャパネットHDに、純粋な番組制作の経験はなかった。

BS放送へ参入した動機について、ジャパネットの創業者、高田明氏の長女である高田春奈ジャパネットHD取締役は「テレビの視聴率は下がっているが、いまだに大きな反響がある。その影響力が魅力的だった。ジャパネットの作る放送局はドラマの出演者が着る服など番組内に出てきたものをアプリ上で購入できるようにしたい」と話し、通販事業との連携を見据える。