野菜やコメだけでなく、ワイン、木綿と加工品に広がっている世界的なオーガニックブーム。ところが、日本の有機農業は、欧米諸国はもちろん中国に比べても普及が遅れている。といっても、農家や自治体がユニークな取り組みを続ける地域はある。行政や流通の工夫がもう少しあれば、日本が有機農業後進国から浮上できるはず、と専門家は期待する。

有機農業取り組み面積は世界最低レベル

「全耕地面積に対する有機農業取り組み面積の割合」という棒グラフがある。国際的な研究機関が2017年の統計を使い、2019年に発表した報告から農林水産省農業環境対策課が作成した。8カ国中、日本は最下位で、「0.2%」。この数字は、有機JASを取得している面積だけを計上しており、有機JASを取っていない取り組み面積を含めると、「0.5%」になる。それでも、下から2番目の中国の「0.6%」より少ない。

日本では2006年12月、超党派による議員立法により「有機農業推進法」ができた。この法律に基づき、農水省は2014年4月、新たに「有機農業の推進に関する基本的な方針」を打ち出した。目標も掲げた。「2018年度までに、現在0.4%と見込まれる我が国の耕地面積に占める有機農業取り組み面積の割合を倍増させ、1%とする」とうたった。

ところが、目標達成期限から1年が経とうとしている今、この目標を達成できる見込みはたっていない。

「世界に比べると、まだまだまだというのは、おっしゃるとおり」。有機農業推進を担当する農水省の及川仁・農業環境対策課長は表情を引き締めつつ、「しかし、伸びていないわけではありません。各地で取り組みは広がっています」と強調する。

日本国内の有機食品の市場規模は、2009年に民間団体による調査で「1300億円」とされてきた。農水省が2017年に消費者アンケート調査の結果をもとに、2009年調査と同様の推計方法によって有機食品の市場規模をはじき出したところ、「1850億円」だった。2009〜2017年の8年間で1.4倍の伸びを示している。

一方、世界の有機食品売り上げは、この10年で倍増した。農水省がまとめた「1人当たりの年間有機農産物消費額(2017年)」をみると、14カ国中、日本は下から4番目となっている。最下位ではないが、ランクは低い。