米中貿易摩擦の影響が長引き、景気の先行指標である工作機械の受注が厳しさを増している。

日本工作機械工業会(日工会)がこのほど発表した2019年の加盟106社(2019年10月時点)の工作機械受注総額は、1兆2299億円(前年比32.3%減)と3年ぶりの前年割れとなった。自動車や半導体関連需要の低迷や米中貿易摩擦によって製造業の設備投資が先送りされたことが主な要因だ。

大幅に遅れる受注の回復

月別受注総額は、2018年10月から15カ月連続で前年割れを続けており、2019年8月からは好不況の目安とされる月間1000億円という数字を5カ月連続で下回っている。2019年初めに「2019年の半ばから秋口」(複数の業界関係者)とみられていた受注回復の時期は大幅に遅れている。

日工会の飯村幸生会長(東芝機械会長)は1月9日に行われた新年賀詞交歓会で、受注のサイクルを山に例え、「(2019年の受注環境は)山から次の山へ尾根道を歩いているつもりが、急な下り坂となった」と振り返った。

当然、各メーカーの業績は厳しい。工作機械の頭脳部分であるNC(数値制御)装置最大手ファナックの今期営業利益は前期比で半減する見通しだ。2020年3月期の売上高は前期比20.3%減の5067億円、営業利益は実に同50.6%の806億円を見込む。

NC装置などのFA(ファクトリー・オートメーション)部門の受注は、年末に中国の春節明けの需要増加への期待から一時的に増加し、2019年10月に発表した売上高を0.4%上方修正した。しかし、ファナックの山口賢治社長は1月29日に行われたアナリスト向け電話会議で「明確によくなっているという認識ではない」と慎重姿勢をみせた。