なお、メディアではほぼ報道されていないのだが、中止や延期になったのは、就職情報会社が主催するものだけではない。自治体が主催するUターン・Iターンセミナーなども含まれる。地方創生が叫ばれる中、これは自治体の商工労働部などが力を入れている事業だけにその点のダメージはもっと報道されていいだろう。

もっとも、就活時期のルールが形骸化する中、この時期のとくに就職情報会社が主催する合同企業説明会は第1志望に落ちた層や、就活に出遅れた層に対するものという位置づけになっている。

具体的にデータでみてみよう。ディスコの「3月1日時点の就職活動調査〈速報〉 キャリタス就活 2021 学生モニター調査結果」によると、3月1日の就活解禁時点で、すでに内定を手にしているという学生は全体の15.9%に上っている。前年同期実績の13.9%を2.0ポイント上回っている。なお、内定を得た企業のインターン参加経験有無を確認したところ、内定企業の69.3%がインターンシップ参加企業だった。

ゆえに、この時期の合同説明会が中止になるということは、早めに始めていた学生にはダメージは少ない。ただ、出遅れ層にとってはダメージとなる。

オンラインでの採用活動は根付くか

ウェブ説明会やウェブ面接・面談は急速に広がりを見せつつある。学生からも「今日はウェブ面接です」という声をよく聞く。グーグルなど、全世界的に面接をオンラインに切り替えた企業もある。

この新しい取り組みには学生も企業の採用担当者も慣れが必要である。オンラインのビデオチャットツールは進化を続けているが、通信環境によっては遅延などもありうる。そして内定者フォローは、留意する問題になるだろう。

内定辞退をいかに避けるかはここ数年の人事の課題だったが、未体験ゾーンの闘いが始まるといえるだろう。リアルな場以外でも効果的な口説きを実現するために、採用担当者は事実の積み重ねや、疑問の解消、動機づけのスキルを進化させる必要がある。

もちろん、リアルな場での接点も、ウイルス予防策などに力を入れるならば、問題とはならない。現状もウェブ面接ツールなどを活用せず、企業に学生を呼び出して面接をしている例もある。