新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大が続くイタリアで、国債市場の緊張が高まっている。感染封じ込めを目指す政府の外出・移動制限は4月3日以降も延長される可能性があり、経済活動の全面停止が長期化するおそれが出てきた。イタリア政府は感染防止だけでなく、景気の深刻な落ち込みと、それによる失業者や倒産企業の増加を防ぐ必要がある。医療支援、失業対策、資金繰り支援、税支払い猶予などを柱とする総額250億ユーロの財政出動を発表しているが、今後も追加対応が求められる公算が大きい。

巨額の公的債務を抱えるイタリアは財政不安を抱えており、EU(欧州連合)の財政規律違反を問われるかが、たびたび金融市場の注目を集めてきた。しかし、新型コロナウイルスによる未曽有の危機に直面し、EUもその対策にかかわる各国の歳出拡大は財政規律違反の対象としない方針を表明した。ただ、規律違反を問われることはなくとも、イタリアの公的債務が一段と膨れ上がることには変わりがない。大幅なマイナス成長への転落が確実な景気動向と相まって、債務の返済能力の悪化が不安視されている。

ECB(欧州中央銀行)による大規模な国債購入もあり、イタリアの10年物国債利回りはコロナ危機の前は1%を下回っていた。それがここにきて急速に上昇圧力が高まっており、18日にはポピュリスト政権誕生で財政規律違反が不安視された2018年以来の3%台乗せが間近に迫った。

ECBはイタリア、ギリシャの国債買い入れに動いた

こうした市場の突然の緊張に対抗する手段をECBは持っていなかった。金融緩和の一環でイタリア国債を購入しているが、これにはユーロ圏各国の国債をあらかじめ決められた割合で購入することが求められる。金利が上昇した国債を重点的に買うことは認められていない。

とはいえ、このまま市場の緊張を放置すれば、イタリアは市場での国債発行から締め出されるおそれが高まる。そうなれば欧州債務危機の時代に後戻りしてしまう。背に腹は代えられない。ECBは18日、量的緩和の枠組みを使ってイタリアの国債市場に緊急介入し、イタリア国債の利回り上昇をいったんは止めた。

ただ、これはあくまで緊急避難措置で、今後もイタリアの経済・財政悪化が明らかになるにつれ、イタリア国債は売り圧力にさらされるおそれがある。そのたびに量的緩和のスキームを使ってイタリアの国債市場に介入し続ければ、財政救済を禁じたEU条約違反を問われかねない。

そこでECBは緊急理事会を招集し、日本時間の19日朝に「パンデミック緊急購入プログラム(Pandemic Emergency Purchase Programme:PEPP)」を創設した。これは従来の資産買い入れプログラム(月額200億ユーロを無期限+コロナ危機対応で年末まで1200億ユーロの追加購入)に加えて、年末までに総額7500億ユーロの買い入れ枠を設定するものだ。