新型コロナウイルスの感染拡大を受け、酒類メーカーが消毒用アルコールの提供に乗り出している。

市場調査会社のインテージヘルスケアによると、2019年度(2019年4月〜2020年3月)の手指消毒剤(医薬品は除く)の販売額は87.2億円。2020年2月以降の売り上げが大きく伸び、前年度の販売額34.3億円と比べて2倍以上になった。

メーカーに対する増産要請が出た3月の消毒用アルコール原料製造量は前年の月平均比で2.2倍、約220万リットル(数字は経済産業省)と大きく増えている。しかし、いまだに市中どころか、医療機関でも消毒用アルコール不足が続いている。

チューハイ用のアルコールを消毒用に

このような状況を受け、サントリーホールディングス(HD)のグループ会社、サントリースピリッツの大阪工場(大阪市)は4月28日から、医療機関向けに消毒用アルコールの無償提供を開始した。

同工場では「−196℃」や「ほろよい」などのチューハイブランドの原料を製造しているが、その原料を転用し、医薬品卸を通じて医療機関などに提供していく。原料のアルコール度数は95%で、消防法上は危険物扱いとなり、保管が難しい。そのため、初日の提供量は約3500リットルにとどめ、今後も同程度の量を継続的に提供していく方針だ。

酒類メーカーはなぜ、消毒用アルコールを提供できるのだろうか。大手酒メーカーのオエノンホールディングスによると、「酒類に使うアルコールと、薬局で売られる消毒用アルコール原料の成分は同じで、(原理的には)酒用のアルコールでも消毒としての効果がある」(同社広報)という。同社は従来から消毒用アルコールメーカーなどにもアルコール原料を販売している。