どうやら、メモにあった「8日」(5月8日)を「8月」と読み間違えたようだが、安倍首相はまったく気づかずに発言を続けた。発言後、会見に同席した専門家会議の尾身茂副座長が置いたメモを読んで、ようやく誤りに気づいたとみられる。

施政方針演説や国会答弁で、安倍首相の言い間違いや読み間違いは少なくない。ただ、持続化給付金は安倍首相が強くアピールしていた政策で、この言い間違いに気づかなかったのは「まったく考えられない事態」(閣僚経験者)だ。

解除先送り後の対応は知事に丸投げ

安倍首相はその後の質疑応答の中で、「先ほど『8月から』と申し上げましたが、『5月8日から』の間違いでした」と訂正したが、テレビ中継を見守った野党幹部はすぐさま「一番大切なメッセージをなぜ間違えるか」などとツイート。さらに、「そもそもこれは間違うはずがない。メモ読みばかりに集中して、伝えるべき内容は上の空だったのでは」(自民長老)との慨嘆も広がった。

緊急事態宣言の延長については、政財界幹部や小池百合子東京都知事、吉村洋文大阪府知事らも「やむなし」との受け止めだった。直後の世論調査でも国民の7割近くが期限延長を支持した。ただ、解除先送り後の具体的な対応を各都道府県知事に丸投げしたことへの不満も多く、全国知事会は5月5日に解除基準を明示するよう求める提言をまとめた。

大阪府の吉村知事は「出口戦略をぜひ示してもらいたかった」としたうえで、休業と外出自粛要請の段階的解除に向けた「大阪モデル」を発表。多くの知事も、各地の事情に合わせた解除方針に言及した。これに対し、西村康稔コロナ担当相は「(吉村府知事は)何か勘違いしている。強い違和感を感じる」と不快感を示した。

安倍首相が数値目標も含めた宣言解除条件を明確にできなかったのは、専門家会議の議論が紛糾したことが原因だ。安倍首相は「全国で毎日100人を超える方々が退院しているが、その水準を下回るレベルまでさらに新規感染者数を減らしていく必要がある」と述べた。これは専門家会議の主要メンバーによる「新規感染者数100人以下が続く状態」との指摘に符合する。