ただ、その前提となる新規感染者数については、諸外国と比較して少ない日本のPCR検査数から、「実態を表していない数字」(医療関係者)であることは否定できない。尾身氏も「(PCR検査を増やすには)根源的な問題があり、簡単には増やせないのが実情」と説明した。

となれば、「感染者数を基準にする限り、出口戦略も組み立てようがない」(感染症専門家)ことになる。

外交日程を理由に1時間余で打ち切られた会見で安倍首相は、新たな日常の具体的行動基準だけでなく、政治決断を求められる出口戦略とその前提条件についても、その判断を専門家会議に丸投げした。これも「首相と専門家会議メンバーとのコミュニケーション不足」(有力県知事)のように映る。

14日の中間報告は安倍首相の独断

安倍首相が会見で政治決断をアピールしたのは、5月31日までの期限延長と、専門家会議に14日の中間報告を求めたことだ。期限延長については、6月6日までとの案もあったが、安倍首相は5月末を選択した。与党幹部は「きりがよかっただけ。6月初めと5月末ではまったく印象が違うからだ」と突き放す。

一方、14日の中間報告は安倍首相の独断とみられている。専門家会議メンバーも「突然持ち出されて困惑した」と漏らす。そもそも、当初期限の6日ぎりぎりまで推移を見極めようとしていた専門家会議にとって、次の状況判断として適切な時期は、大型連休の自粛の結果が見極められる5月20日以降とみられていからだ。

首相は会見で「14日に中間報告で成果が認められれば、期限に先立っての解除も可能となる」と胸を張った。しかし、「とにかく早く解除したいという政治的願望と、6月以降に持ち越したら今度こそ政治責任を問われるとの焦燥感が理由」(自民長老)との指摘が多い。