コロナウイルスは、ようやく収束を見せつつあるが、依然として猛威を振るっている。アフターコロナ時代の企業経営は、今までとは異なる環境と対峙しなくてはならなくなってきている。そんな中、どのようにして企業は、体質改善を成し遂げ、持続的成長を目指していくべきか。

名和高司氏は、マッキンゼーでのコンサルタントを経て、ビジネススクールで教鞭を執るとともに、日本を代表する企業のアドバイザーとして、30年にわたって数多くの企業の変革に携わってきた。

その名和氏のライフワークの集大成ともいえる著作が、戦略論、実践論、リーダー論を凝縮した『企業変革の教科書』である。アフターコロナの時代は、否応なく変革が迫られている。本稿では、多くの企業でも活用されている同書のエッセンスをもとに、これからの企業の変革へのヒントを語ってもらった。

危機をトリガーに変革力を高めよ

「コロナエフェクト」が猛威を振るっている。この戦後最大の危機をいかに乗り越えるかが、焦眉の課題だ。しかし、より大局的な視点に立てば、この危機をいかに機会に変えるかが知恵の絞りどころとなる。

歴史を振り返れば、日本は天変地異のような出来事(いわば「外圧」)に遭遇するたびに、進化を遂げてきた。黒船が契機となって、「東洋の奇跡」と呼ばれる日本の近代化がスタートした。昭和においても、敗戦、ドルショック、オイルショックなど、幾多の危機の波を乗り越えて、日本企業群は競争力を磨き上げ、世界のフロントランナーに躍り出た。

平成に入って、この成功パターンが通用しなくなったように見える。平成ボケとでも呼ぶべき「失われた30年間」である。しかし、その間でも、阪神・淡路と東日本の大震災、バブル崩壊、リーマンショックなどといったメガトン級の危機に見舞われた。そして、その中で、大きく変革を遂げた一握りの企業は、異次元の成長を遂げてきている。

例えば、ファーストリテイリングは、「ライフウェア」(究極の普段着)というコンセプトを掲げ、「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」という高い志(パーパス)の下、デフレ基調と新興国市場の台頭を追い風に快進撃を続けてきた。

B2Bの世界では日本電産である。抜本的な固定費削減(同社ではWPR[ダブル・プロフィット・レシオ]と呼ぶ)と製品、市場、顧客を「ずらす」戦略(同社では「3新」と呼ぶ)で、タイの大洪水、リーマンショックという未曽有の危機を、非連続な成長機会に転換し続けてきた。