航空業界は依然として深い底にある。国内航空最大手の全日本空輸(ANA)は6月の国内線便数が計画比で30.5%と低空飛行が続く。

そんな中、ANAと同一グループの国内LCC(格安航空会社)最大手のピーチ・アビエーションは6月19日、国内全22路線のうち運休していた12路線で一部復便を実施し、国内全路線での運航を再開。7月22日には国内線全便を復活させる。

同業他社が平時の高需要路線ですら減便措置を取る中、あえて地方路線などを含む全路線の運航を再開するのはなぜか。4月に就任した森健明CEOに聞いた。

5月は飛べば飛ぶほど赤字だった

――6月19日から国内全22路線で運航を再開しました。政府の都道府県外への移動解禁日と重なっていますが、関係があったのでしょうか。

たまたま同じ日になった。5月に緊急事態宣言が解除されて、1カ月くらい経てばどこの地域へも飛べるかなと粗く見立て、6月中旬からの全路線における運航再開をずっと議論してきた。そのうえで、週末はお客さんが集まるため、6月中旬の週末である19日と定めた。

当然、各地で感染が収束しなかったり、医療体制が逼迫していれば、運航再開を取り下げる覚悟もしていた。その数日後、たまたま政府が同日から県をまたぐ移動をできると発表し、結果的にちょうどいいタイミングとなった。

――「粗く見立て」たということは、感染者数などの指標を踏まえた判断ではないと?

感染者数の情報はかなり細かく見ている。4月ごろから国や都道府県単位だけでなく、奄美大島や石垣島といった就航先の離島単位まで、どのように感染者が発生しているかをきめ細かく確認している。

――ただ、国内全路線の運航再開後も便数ベースでは計画の2分の1程度にとどまります。低運賃でも機材の高稼働で利益を捻出するLCCのビジネスモデルにおいて、損益分岐点に到底達しない水準では。

毎月の大きな固定費負担から赤字は免れない。また、飛ばす以上は(赤字幅を拡大させないように)燃料代などの運航変動費は賄えないと困るが、5月は搭乗率が20%にも届かない状況だった。この状況では各便の運航変動費を賄えないため、飛べば飛ぶほど赤字が膨らんでしまう。需要が見込めなければ、基本は飛ばないのが(エアラインビジネスの)王道だ。