政界随一の「寝業師」と呼ばれる自民党の二階俊博幹事長の「生臭い動き」(自民幹部)が、コロナ禍と長梅雨でよどむ永田町の空気をかき乱している。

二階氏は6月17日の国会閉幕前後から安倍晋三首相や自民党各実力者らとの個別会談を繰り返し、その変幻自在な言動でポスト安倍レースをにらむ自民党内に揣摩臆測を広げている。

お盆明けから始まる見通しの「政局秋の陣」は、党・内閣人事とそれを受けての解散・総選挙の有無が焦点だ。ただ、「すべてはコロナ次第」(政府筋)で確たる見通しが立たず、それゆえに「二階劇場」が政界の耳目を集めている。

変わる「ポスト安倍レース」の展開

二階氏の最初の仕掛けは、6月8日の石破茂元幹事長との会談だった。二階氏は、各種世論調査でポスト安倍候補の人気ナンバーワンとなっている石破氏を「さらに高みを目指して進んでいただきたい期待の星の1人」と持ち上げ、9月の石破派政治資金パーティーでの講師も快諾した。

石破氏は党内実力者では唯一人、安倍首相の政権運営を厳しく批判し続け、安倍首相や麻生太郎副総理兼財務相から敵視されている。その石破氏が政権の支柱でもある二階氏と気脈を通じれば、ポスト安倍レースの展開も大きく変わるだけに首相周辺に疑心暗鬼が広がっている。

7月2日には岸田文雄政調会長とも会談した。両氏が率いる二階、岸田両派の幹部も交えての懇親会で、二階、岸田両氏の親密な会食は約1年ぶり。同席者によると、両氏は思い出話に花を咲かせるなど和気あいあいで、終わり際に二階氏が「前途洋々、次に期待する」と岸田氏にエールを送った。

二階、岸田両氏は2019年秋の党内閣人事で幹事長ポストをめぐって火花を散らし、安倍首相が秋口に断行するとみられる党人事でも、再び幹事長職の争奪戦を演じる可能性が指摘されている。岸田氏にとって次の人事で幹事長になれば、ポスト安倍への展望が開けるからだ。それだけに、このタイミングでの二階・岸田会談は自民党内に複雑な波紋を広げた。