中国では4月8日の武漢封鎖解除後も、吉林省、黒竜江省、北京市などでクラスターが発生したが、その都度大規模なPCR検査と高リスク地区の封鎖で抑え込み、「With コロナ」を許容しない姿勢を貫いた。

強硬姿勢の背景には、大学入試が目前に迫っていたこともある。過去最高の1071万人が参加し、試験監督94.5万人が配置された「アフターコロナの大学入試」は、例年の6月初旬から1カ月後ろ倒しされ7月7日から実施された。

中国は日本とは比較にならないほどの学歴社会であり、かつ入試は日本のセンター試験に近い一発勝負で、大学ごとの二次試験はない。“人生がかかった”と言っても大げさではなく、入試を無事に実施できるかは、社会全体にとって経済対策に勝るとも劣らない関心ごとだった。そして万全の準備を尽くしてもなお、時期がずれたことによる天候アクシデントは避けられなかった。

マスク、検温、厳戒態勢の入試会場

7月7日午前、全国の高校や入試会場には、受験生やわが子を見守る保護者たちが集まった。昨年までと違うのは、全員がマスクを付け、入試会場ではサーモグラフィーの設置やソーシャルディスタンスの確保など、徹底した感染症対策が取られたことだ。

毎年恒例の下級生による決起集会を取りやめた学校も少なくなく、受験生を会場に送るために、送迎バスをチャーターした学校や、試験前には学生をホテルや自宅などに隔離した学校もあった。北京市では消毒や換気、ソーシャルディスタンスの確保など感染症対策を徹底していると判断された宿泊施設に受験生が殺到し、宿泊料が3割程度上昇したという。

中国は、ハイパー学歴社会だ。例えば、中堅国立大学の文系学科を卒業した新卒社会人が、大連市など二級都市で就職すると初任給は月額4000元(約6万円)前後が相場だが、北京、清華などトップ大学の大学院で人工知能(AI)など最先端技術を学んだエリートは、新卒でも年収1000万円超えはざらだ。極端な例ではあるが、ファーウェイは2019年、新卒のエンジニアを年収3000万円台で採用したことが話題になった。