日産は2020年6月24日に新型車「キックス」を発表し、同月30日より販売を開始した。キックス導入の狙いは単純だ。「ヒットによるシェア拡大」。とにかく売れなければ困るのだ。

なんといっても現在の日産の状況は最悪だ。2019年度の決算は2000年のゴーン改革以来となる6712億円の大赤字。5月には「選択と集中」をテーマとした4カ年計画の構造改革プラン「NISSAN NEXT」を発表した。いわゆるリストラ案だ。

そこで「日本・中国・北米のコアマーケットの集中」が宣言され、今後、世界市場に対して18カ月で12車種もの新型車を投入するという。日本市場では、EV(電気自動車)2車種とe-POWER搭載モデル4車種を追加するとアナウンスした。

大赤字を背景に、日本での販売を伸ばす。そのために計6車種の追加を発表したのだ。これは、ちょっとした驚きだ。なぜなら、日産は日本市場で過去10年にわたって新しいモデルを追加していなかったからだ。今回のキックスは、2010年の「リーフ」以来となる10年ぶりのブランニューの新型車となる。

新型車がなく落ち込んでいた国内シェア

日産は過去10年間、新型車なしで国内市場を戦ってきたわけだが、どんな市場であっても、新商品がなければ販売がつらいのは当たり前のこと。実際に、日産の2009年の国内販売は約63万台でシェア12.9%だったのが、2019年は約53万台でシェア10.6%まで数字を落としている。

わずかなマイナスで踏ん張ったとも言えるが、足元に火がついた状況で、ようやく新型車を投入して販売を強化するというスタンダードな手法に戻ったというわけだ。ここでキックスが空振りするわけにはいかない。キックスは、必勝を期して投入された新型車なのだ。

日本市場のシェア回復という大任を担うキックスは、どのようなクルマなのだろうか。簡単に言えば、エンジンを発電用に使い駆動をモーターで行う「シリーズハイブリッド」のe-POWERを搭載したBセグメントのSUVである。しかし、その内容を吟味すれば、ヒットの匂いが濃厚であることがわかる。