ホンダは7月10日、中国車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)の第三者割当増資を引き受け、同社株の約1%(600億円)を取得すると発表した。2030年に新車販売の3分の2を電動化する目標を掲げているホンダは、中国で2022年にCATLの電池を採用し、安定調達を図る構えだ。

ドイツのフォルクスワーゲン(VW)は今年5月に中国3位の電池メーカー、国軒高科の発行株式26.47%を取得したほか、メルセデス・ベンツは7月に中国中堅電池メーカーのファラシス・エナジーに約3%出資すると発表。また、アメリカのテスラは上海で電気自動車(EV)の最大生産能力50万台を誇る巨大工場「ギガファクトリー3」の稼動で、CATLやLG化学を含む複数電池メーカーから車載電池を調達する意向を示した。

こうした動きをみると、外資系自動車メーカーにとっての電池は、中国メーカー頼りの状況だ。中国では、EV需要の増加が見込まれる中、性能を左右する良質な電池の争奪戦が生じており、その需要は車載電池で独走するCATLの成長を支えている。

2011年に創業したCATLは、世界最大のEV市場である中国で急成長を果たし、2019年には4年連続で世界首位となった。中国では、上海汽車、広州汽車など地場大手自動車メーカーとそれぞれ車載電池の合弁会社を設立し、BMW、ダイムラー、VWなど世界大手にも供給している。

2020年は投資額500億元(約7500億円)で、車載電池の生産能力を2023年に300GW(2019年比で5倍程度)に引き上げる計画だ。現地工場の建設に加え、2019年にはドイツ・テューリンゲン州に初の海外工場を建設したほか、アメリカでの工場建設も視野に入れる。

NEV補助金政策の見直しの影響

中国政府の新エネルギー車(NEV)シフトはリチウムイオン電池(LIB)業界にも追い風となり、中国のLIB出荷量は2019年に71ギガワット時(以下、GWh)に達し、世界シェア約6割を占めている。しかし、新型コロナウイルスの影響で2020年1〜6月の中国のNEV販売台数は前年同期比37%減、LIB出荷量は前年比42%減(21.3GWh)、中国LIB業界全体の稼働率も30%以下にとどまっている。

出荷実績があったLIBメーカー数をみると、2016年の約150社だったのが、2020年1〜6月には59社にまで減少した。背景にあるのは、中国政府が電池メーカーに対し、「量」を重視する政策から「質」を重視する政策へと転換したことだ。

2018年以降、NEVの販売支援を目的とした補助金額は、段階的に減額されるとともに、補助金支給の技術条件も厳格化される。航続距離の長い電池を搭載すれば、多額なNEV補助金を獲得できるため、NEVメーカーの電池調達先は大手電池メーカーに集中し始めている。