政府に新型コロナウイルス対策を助言してきた専門家会議や、その廃止後に設けられた分科会の議事録の開示問題がクローズアップされている。情報公開請求で開示された専門家会議の「議事録」のほとんどが黒く塗りつぶされ、分科会の議事録も10年経たないと公開されないことが決まった。

だが、実は10年前、こういったパンデミックの折に助言する専門家らの議事録公開が議論され、政府の報告書に「透明性の確保」が盛り込まれていたことは、あまり知られていない。その「約束」を反故にした格好の政府の非開示方針は、過去の教訓を生かせない日本の体質を浮き彫りにしている。

8月20日、FNN(フジニュースネットワーク)は情報公開請求に基づいて入手した今年2月の第2回専門家会議の議事録について報じた。

FNNの報道によると、速記録は38ページで1352行に上っているが、「ノリ弁」と称される黒塗りばかりで、読めるのは冒頭のあいさつなど、ごくわずかな部分だけだった。内閣府は「議事概要」を公表していると弁明するが、ホームページにアップされている「議事概要」を読んでも、どんな議論が交わされたのか、誰の発言なのか、何が焦点だったのかなど議論の全体像は見えてこない。

翌21日のBSフジのプライムニュースでは、西村康稔・経済再生相は黒塗りの開示について、いくつかの理由を挙げている。①発言内容が個人の属性やテーマに及ぶため個人攻撃や訴訟のリスクにさらされる、②専門家から非公開を前提として発言した、など開示に反対する意見があった、③会議での発言内容が、その時期の知見によって変わってくる──。

議事録非開示の責任は誰に?

専門家会議の事情をおもんぱかったような弁明だが、逆に議事録非開示の責任を専門家会議側に押し付けているようにも受け取れる。

発言内容が、感染拡大の要因の1つになったホストクラブやキャバクラなど特定の業種に及ぶと、それをめぐってネットで揶揄されることはある。専門家会議の特定のメンバーに対する脅迫があったこともわかっている。これに配慮する姿勢はわからないではない。

であれば、全文公開を前提に、発言者を特定しない形で公表する方法もあるだろう。議事概要だけよりははるかに意味がある。