日本の鉄鋼産業が窮地に立たされている。米中貿易摩擦の激化で鉄鋼需要が減少。それに伴う減損損失もあり、2020年3月期に日本製鉄、JFEホールディングス、神戸製鋼所とも巨額赤字に沈んだ。

挽回を期した今期だったが、コロナ禍によってそのシナリオは大きく狂った。日本製鉄は8月の第1四半期決算発表時に2021年3月期業績見通しとして、事業利益(再編損失など控除前の営業利益)は1200億円の赤字と発表している。

9月1日に日本製鉄の橋本英二社長は、東洋経済などとの共同インタビューで足元の状況や今後の立て直し策などを語った。

追加の対策が必要になってくる

――足元の事業環境はどうですか。

鋼材需要は4〜6月をボトムに数量的には回復基調で想定より若干上回っている。ただし、水準は低い。マージンが低いままなので業績見通しが大幅に改善することはない。2000億円の固定費圧縮や500億円の変動費低減によって、下期(2020年10月〜2021年3月)に黒字化するメドを立てた。

問題は日本国内での単体の製鉄事業にある。赤字が継続し、かつ拡大している。2020年2月には国内拠点の構造改革計画(2023年9月末までの呉製鉄所閉鎖など)を発表したが、その前提よりもさらに厳しくなっている。決定済みの対策の前倒し、追加の対策が必要になってくる。

――その対策の具体的な中身は?

生産拠点を止めるには生産移管に対するお客様の認証が必要になるため、前倒しは簡単ではない。追加の対策についても検討に入っているが、しかるべき時期に公表する。

――マージンの改善策として「ひも付き」と呼ばれる、自動車など大口需要家との取引での値上げ交渉を進めています。

私どもの材料の価値、お客様への貢献が正しく価格に反映されることを望んでいる。