テレビ番組に出演している有名人に対して誹謗中傷を行っていたという事例もある。その著名女性は、SNSでの軽率な発言について、不適切であるとの批判を浴びていた。

60代女性が誹謗中傷投稿を始めたのは、たまたまテレビを見ているとき、その有名人女性の言動にイラっとしたのがきっかけだった。その後、ネット掲示板を見たらいろいろな人が自分と同じような感情を持って彼女を批判していた。「みんな同じことを考えているんだ」と心強い援軍を得たような気持ちになり、ネットに書かれてある情報を信じて、自分も投稿を始めた。

「整形女」「枕営業」「元キャバ嬢」などと、有名人女性に関して、ネット掲示板ですでに書かれていた噂話を、さらに過激にしたような投稿を毎日、数カ月にわたり100回以上繰り返した。

この案件は加害者側が勝てる見込みはない。ただ、「著名女性に対する誹謗中傷を書き込んでいる人物は他にも多数おり、被害者が既に支払った弁護士費用の100%を加害者が支払うべきだとは言えない」という加害者側代理人の主張により、損害賠償請求について金額の交渉が行われたという。

仕事仲間をけなし始めたB子

匿名ではないケースもある。70代のB子がフェイスブック上で、同年配のC子を非難したというものだ。仕事仲間でそこそこ仲がいい間柄だったのだが、C子のせいで仕事上、割を食う結果になったB子は憤懣やる方ない思いでいっぱいになった。

最初は、「このような不義理をするような人間は許せない。皆も気をつけてね」とオブラートに包み、一般論的なメッセージをフェイスブックにアップしていた。しかし、それだけでは気持ちがおさまらなかったのか、次第にエスカレートしていき、フルネームまでは明示しないまでも、知り合いならだれでも人物を特定できるような書き方で誹謗中傷を繰り返すようになったという。この場合は最初から相手方は特定されているので、損害賠償請求だけになる。

ネットによる誹謗中傷の場合、実は明確な理由や確証がないのにもかかわらず、軽い気持ちで行ってしまうことは少なくない。女性同士のリアル井戸端会議には、芸能人の嘘か本当かわからないような噂話が飛び交うことがある。「あの人好き」とか「あの人嫌い」とか、好き放題に言い合う。それと同じような感覚で匿名掲示板に書いてしまうのかもしれない。ネットリテラシーが欠如している一例と言えるだろう。