こうした売れ筋商品の変化に伴い、コンビニの売り場も陳列商品が大きく変化している。

ファミマでは9月7日から順次、日常使いされる店づくりを目指して売り場の構成変更を進めている。冒頭の都内の店舗のように、「お母さん食堂」ブランドやオクラやナスなど調理前の冷凍食品売り場を拡大する一方、調理麺や調理パン、雑誌売り場などを縮小する。

ローソンは、家飲み需要が高まるチューハイやハイボールなどの陳列量を増やす実験を一部店舗で開始した。東京都足立区のある店舗では、飲料売り場でソフトドリンクとお酒を4対3の割合で並べていたが、9月に入りその割合を逆転させた。ペットボトル飲料のほかにも、チルド飲料を減らしてお酒の陳列量を増やす実験をしている店舗もある。

難易度が上がるコンビニ勝利の方程式

加盟店の中には自主的に先行してお酒の陳列量を変えた店舗もある。ローソン全体では新型コロナの感染拡大以降、チューハイの売上高が前年同期比で1〜2割増えているが、陳列量を意図的に増やした店舗では同5割増にのぼったという。

新型コロナにより、オフィス街の立地でも近隣にある高層マンションの住民の利用が実は多いなど、店舗ごとの細かな違いが判明した。セブンの高橋商品本部長はコロナ前から考えていたが対応は遅かったとしたうえで、「(店舗運営を)マネジメントしやすいワンフォーマットにすることでセブンは成長してきたが、住宅地や周辺人口の年収、地域など多様なものさしで立体的に考えていく。コロナで意識を変えざるをえないと覚悟が決まり、これまでの社風からバチッと音を立てて変わった」と話す。

今後コンビニ各社が見据えるのが、買った商品を持ち帰って食べる中食市場だけでなく、家で調理して食べる「内食」市場、さらには「外食」市場との競合だ。

セブンの高橋商品本部長は「新型コロナによるニューノーマルで、『来るぞ来るぞ』と言われていたものが一気に来た。デリカ(総菜)や豆腐、納豆などを増やしていなかったらセブンはだめになっていた。内食、外食の受け皿となり新しい客を呼びたい。内食、中食、外食の全部を取り込まないと生き残れない」と危機感をあらわにする。

ファミマの佐藤英成商品・マーケティング本部長は外食大手の朝昼でのテイクアウトの動向を注視している。飲食店がデリバリーを拡大するとなれば、消費者の手元まで届ける「ラストワンマイル」の配送でコンビニは劣勢になりかねない。総菜の品ぞろえ強化を続けてきたスーパーだけでなく外食が中食市場と重なってきたことで、「食全部が競合になる」(佐藤氏)。ローソンの藤井商品本部長も「小売りはいかに顧客にアジャストするか(が勝負)。需要をより早くキャッチして売り場に生かしたい」という。

これまで得意としてきた通勤途中などの利用が減ったうえに、内食、中食、外食の境界が薄くなっている。業界外のライバルが増え、従来作り上げてきた成功の方程式も通用しない。「コンビニが勝つ」難易度は、コロナ前よりも高くなっている。

著者:遠山 綾乃