地方自治体が運営する保健所はPCR検査の結果を情報共有するのに、一部でファクスが使われていた。現場職員の労は多としつつも、デジタルで情報共有できる仕組みがありながら一部がアナログとなっていた。

特別定額給付金を受給する際、マイナンバーカードを取得してスマホなどのアプリで電子的に手続きできたにもかかわらず、それを受理した地方自治体で住民票の情報と突き合わせなければならなかった。その結果、作業に人手と時間を要する羽目になった。

デジタル庁創設は大きな前進に

個人情報をきちんと保護しつつ、行政部局が既に保有する国民のデータを必要に応じて突合する。法律上許されているものでも、行政部局内の情報連携の仕組みが整備されていなかった。というより、整備することがわかると、一部の国民や地方自治体が強く反対することを中央省庁側が懸念をし、整備を躊躇していたというのが実情だ。

マイナンバー制度やその下で情報連携を認める法律、マイナンバーカードもできたが、国民や地方自治体が自主的にそれを使わないなら中央省庁は強制しないという姿勢である。

今回、菅内閣がデジタル庁の創設をうたい、政治主導でこうした状態を打破できるなら、行政のデジタル化に向けて大きな前進となろう。行政のデジタル化のネックは、中央省庁と地方自治体、国会間のやり取りでネットワークがうまく構築できていない点である。

2000年代以降進められた地方分権の名の下に、中央省庁の側には地方自治体に指示や業務を強制させることがはばかられる雰囲気がある。書類の様式や電子処理の方法などを中央省庁が定め、それを使ってもらうというやり方は、地方分権の趣旨に反するということで忌避されるようになった。

その結果、自治体ごとに書類の様式が異なったり、それぞれ独自の処理方法でデジタル化を進めていたりして、全国的に統一した形で行政のデジタル化がなされないまま今日に至った。