菅義偉政権発足から半月余りが経過した。「苦労人宰相」らしく、各方面にも目配りしたしたたかな陣容と支持率の高さで、「滑り出しは表向き順風満帆」(自民幹部)だ。

しかし、舞台裏では、政権の3大実力者として並び立つ菅首相と麻生太郎副総理兼財務相、二階俊博自民党幹事長によるあつれきが顕在化しつつある。

菅、麻生、二階3氏は安倍晋三前政権を支えた実力者だ。安倍氏にとって麻生氏は長年の盟友で、官房長官だった菅首相は頼れる女房役だったが、二階氏とは利害で手を結んだ関係で、安倍氏との個人的距離は3者3様だった。

「菅・二階連合」に麻生氏の不満

8月28日の安倍氏の突然の退陣表明を受けて、瞬く間に菅政権誕生の道筋をつけたのが二階氏だった。新政権の党・内閣人事でも同氏と二階派幹部らが要所を占め、政界では「菅・二階政権」との呼び名が定着しつつある。このため、もう1人の実力者である麻生氏との間であつれきが生じ、水面下で「菅・二階VS麻生」の権力闘争が始まっている。

持ち前の権謀術数で菅政権づくりを主導した二階氏に対し、流れが決まった直後に細田博之元幹事長、麻生氏、竹下亘元総務会長という党内3大派閥領袖が、わざわざ共同記者会見を開いて二階氏を牽制した。「二階氏の思い通りにはさせない」という思惑の会見とされたが、逆に菅、二階両氏の連携強化につながったとの見方もあった。

衆院解散時期でさまざまなうわさが飛びかう中、9月29日の総務会で決まった自民党人事では、選挙対策の要所を二階派議員がほぼ独占した。安倍前政権で幹事長に就任して以来、二階氏は野党議員を二階派に取り込んだり、次期衆院選の公認問題などで、各派領袖とあつれきを繰り返してきた。二階派を除く各派は「次期衆院選の公認権や資金配分は二階氏の独裁になる」(麻生派幹部)と警戒感を強めている。

そうした中、この菅・二階連合に不満を隠さないのが麻生氏だ。安倍、麻生両氏にとって天敵だった石破茂元幹事長をポスト安倍レースで徹底的につぶすため、麻生氏は消去法で菅氏を担いだにすぎず、「(麻生氏にとって)菅氏はかねて目障りな存在」(側近)だったとされる。