本調査では「オンライン面接で選考完結企業が4割」という数字だが、大手企業ではもっと高い。経団連は9月15日に「2021年度入社対象 新卒採用活動に関するアンケート結果−コロナ禍における採用活動の状況と今後の見込み−」を発表した。経団連会員企業1448社を対象にし、回収企業数は442社である。

経団連は「オンライン」ではなく、「ウェブ」という言葉を使っているが、最終面接までウェブ活用した企業は経団連会員企業の実に63.8%である。この調査から大手ほどオンライン対応が進んでいることがわかる。

ただし、企業と学生がお互いに一度もリアルに会わないことに対する違和感はある。企業、学生、大学だけでなく、この問題に対する社会的関心は高い。

『週刊文春』に「阿川佐和子のこの人に会いたい」という人気対談コーナーがあるが、10月1日号に登場した作家の伊集院静氏は、「コロナの影響で、リモートで就職面接を受けるという話があるでしょう。これで受かった人は、しばらくしたら大変だと思うよ」と話している。その理由を「お互いのことがよくわからないまま同じ仕事をすることになってしまう」と説明している。伊集院氏の危惧はもっともだ。

オンライン通話はLINEやSkypeでもできるし、祖父母と孫がリモートで会話する風景はテレビでもおなじみだ。孫は無邪気に笑うし、年老いた祖父母も孫の笑顔を見て無邪気に顔をほころばせている。

ところがオンライン面接で見ているのはディスプレイの中の初対面の相手。無邪気とはほど遠い心理状態で会話が進む。確かにあまり相手のことがわかっていないかもしれない。

採用担当者の声

オンライン面接を実施した採用担当者はどういう感想を持ったのか。具体的に検証してみよう。

オンライン面接のメリットで目立つのは、「遠方学生」「地方学生」の増加だ。とても多くの企業が評価している。オンライン面接実施企業では、遠隔地在住の学生の参加がかなり増えたようだ。

「遠方の人でも参加しやすい」(メーカー、従業員規模1001人以上)

「遠隔地在住の学生の参加が増えた」(サービス、301〜1000人)

遠隔地在住の学生に対するリーチが増しただけでなく、別のメリットもある。面接では会議室の予約などの事務作業が伴うが、オンライン面接では人事部に設けた専用ブースさえあれば簡単に実施できる。

「地方の学生が参加しやすくなった。会場の設置等の必要がなくなった」(メーカー、1001人以上)

「遠方学生も簡単に設定できる。会議室を予約しなくてよい」(メーカー、301〜1000人)