より広義に言えば、AIを含むデジタルテクノロジーが社会の隅々まで行き渡り、人々の日々の健康管理や投票行動まで左右するようになってきている。

例えばスマートウォッチを着けた人は体温、心拍数、血中酸素など測り続け、データとして蓄積しており、健康管理アプリからアドバイスを受けているだろう。投票行動といえば、アメリカではジオフェンシングと呼ばれる、特定の地域の人々に特定の広告を見せる位置情報を利用した手法が選挙キャンペーンに利用されている。

すでに多くの場面で人間の活動はデジタルデータに還元され、解析され、行動変容されている。こうしたデジタルテクノロジーを支配できるものが、社会と人間に大きな影響を与えることはもはや自明である。

「デジタル」を理解するのに必要な視点

デジタルテクノロジーの覇者は、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)と呼ばれる巨大テック企業かもしれず、話題のTikTokかもしれない。そんな折、新しい首相を迎えた日本では政府が「デジタル庁」を発足するという報道があった。

新型コロナウイルスのパンデミックを受けて、日本では感染者追跡アプリ開発や教育現場での遠隔学習などにより、先進国であるはずの日本のデジタル化の遅れが大きく浮き彫りになった。

「デジタル」については国家間の争いから、子どもの教育、スマートフォンでの暇潰しまで、あらゆる角度でニュースとなっている。ビジネスパーソンにとって日々、五月雨式に入ってくる情報だけでは、何が自分のビジネスに関係する事象なのかさえ理解が難しくなっていることも事実である。

現在、世界では日本企業の存在感が薄くなっている。海外MBAの授業で日本企業がケースとして取り上げられることもほとんどなくなってしまった。この現状は、テクノロジーは自分たちには関係ない、政治は自分たちには関係ないと考えた企業トップの知的怠慢がその原因ではないかと筆者は考えている。

職場ではDX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれるが、AIや5Gネットワークなど、技術的な話題が入ってくるとより難しく感じるのではないだろうか。

ここではビジネスパーソンが「デジタル」のニュースをどのように見るべきか、ビジネスパーソンが持つべき視点を解説する。登場するのは、各国政府、デジタルプラットフォーマー企業、機関投資家、企業、個人である。